あいつが洗うと真っ白だ 主将も信頼する社・斉藤くん「近くでみんなを応援したい」特等席で見た仲間の笑顔

[ 2022年8月10日 04:00 ]

第104回全国高校野球選手権大会第4日・1回戦   社10―1県岐阜商 ( 2022年8月9日    甲子園 )

<社・県岐阜商>ボールボーイを務める社・斉藤(撮影・北條 貴史)
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 【いっちーの届け夏エール】社のボールボーイ・斉藤雄太君(3年)は聖地のベンチ前で母校の校歌を聞くことができました。

 甲子園出場を決めた兵庫大会決勝の直後。みんなの興奮が冷めない中で一人、丁寧にベンチを拭く姿がありました。後藤剣士朗主将から「嫌なことも率先して動いてくれ、僕も頼っています」と厚い信頼を寄せられる人柄。雨の日、練習後に斉藤君が洗うベースは真っ白だと評判です。「あまり損得勘定がないんですよね」と笑いますが、悔しさでいっぱいの3年間でした。

 公式戦出場は2試合。今夏の兵庫大会も初期登録で手にした背番号13は、開幕直前の変更で幻になりました。「甲子園に連れて行くから!粘れよ!」。励ましてくれたのは寮で同部屋の笠井康生君。夜遅くまで、寮の中庭で一緒に羽打ちをした仲間の言葉に、心折れずに練習に励みました。

 甲子園のメンバーに名前はありませんでした。外野手から内野手への転向など思うようなプレーができなかった3年間でしたが、仲間との時間はかけがえのないものになりました。「近くでみんなを応援したい」。仲間に声が届く場所で過ごす最後の夏はまだ、続きます。

 ◇市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー兼ピラティスインストラクター。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。昨年からは早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に在学し、野球選手の障害予防について研究中。

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2022年8月10日のニュース