オリックスにまた新星キタ~ 来田プロ初出場初打席初球弾!!高卒新人史上初快挙 初盗塁&初猛打賞も

[ 2021年7月14日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス5ー0日本ハム ( 2021年7月13日    釧路 )

<日・オ>初回2死一塁、オリックス・来田はプロ初打席初本塁打となる右越え2ランを放つ(撮影・長久保 豊)
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 オリックスの来田涼斗外野手(18)が13日の日本ハム戦で、プロ野球史上初となる高卒新人のプロ初打席初球本塁打を記録した。この日に初昇格し「7番左翼」でプロ初出場。初回に3点を先取し、なお2死一塁で右翼席に1号を運んだ。3回は左前打&二盗、6回は二塁内野安打で3安打。96年以来、25年ぶりのリーグ優勝に向け首位を快走するチームに新たな新星が出現した。

 フルスイングで金字塔を打ち立てた。初回、3点を奪いなおも2死一塁で迎えたプロ初打席。池田の初球142キロを捉えた来田の一撃は逆風にも負けることなく、右翼席まで美しい弧を描いた。

 「初球からガンガン振っていくのがスタイル。監督、コーチからも“思い切っていけ”と言われていたので初球からバットを振っていくしかないと思っていました。(記念球は)両親にあげたい」

 ウエスタン・リーグでは打率・273、1本塁打、22打点。11日の同ソフトバンク戦の試合中に昇格を告げられた。「キターッとかじゃなくて、その時から緊張していました」と、この日の試合前まで「緊張マックス」。ただ、試合が始まれば“集中力マックス”だった。

 3回2死でも、左腕アーリンの初球を左前打。次打者・若月の2球目にプロ初盗塁となる二盗も成功させ、6回先頭では50メートル走5秒9の俊足を生かし二塁内野安打。「ヒットは全部たまたまだと思っている。全員がすごい投手。投手の方(の球の力)を借りてスイングして行こうと思っている」と謙虚な姿勢で安打を積み重ねた。

 高校時代から吉田正に憧れ、動画で練習などを研究。春季キャンプ中にはバットをもらった。この日の試合前練習中に「来田、スタメンで出るぞ」と声をかけてもらい「本当に楽しいというか、テンションやモチベーションが上がった」と言う。吉田正がモットーとする「初球、ファーストスイングで一発で仕留める」を見事に実践してみせた。

 明石商2年時の選抜準々決勝・智弁和歌山戦で甲子園大会史上初の「先頭打者&サヨナラ弾」を記録し、プロでもいきなり「史上初」の偉業を成し遂げた。それでも「自信はまだないですね。もっと積み重ねていかないといけない」と浮かれる様子はない。天性の素質を秘める「新星」が25年ぶりのリーグ優勝を目指すチームの新たな刺激となる。(桜井 克也)

 《猛打賞デビューは37年ぶり》高卒ルーキーの来田(オ)がプロ初打席の初球を本塁打。初打席本塁打は昨年9月15日楽天戦の大下(オ)以来67人目(初球は10人目)。高卒新人では18年村上(ヤ)以来8人目で初球を運んだのは来田が史上初めて。高卒新人の3安打猛打賞デビューは84年村上隆行(近鉄)以来、37年ぶり。初打席本塁打した試合に複数安打は16年広岡(ヤ=2安打)に次ぎ2人目だが猛打賞は来田が初めて。初打席の条件を外してもオリックスの高卒新人本塁打は阪急時代の56年8月18日東映戦で米田哲也が放って以来、65年ぶり。

 【来田アラカルト】

 ☆生まれ&サイズ 2002年(平14)10月16日生まれ、神戸市出身の18歳。1メートル80、85キロ。右投げ左打ち。

 ☆球歴 有瀬小1年から野球を始め、6年時にオリックスJr.入り。長坂中ではヤング・神戸ドラゴンズに所属。明石商では中森(ロッテ)と同僚で1年春からレギュラー。1年夏から3季連続で甲子園出場し、2年春に智弁和歌山との準々決勝で史上初の初回先頭打者弾&サヨナラ弾。3大会の通算打率・371。3年夏の甲子園交流試合も出場。高校通算34本塁打。

 ☆カレーは飲み物 好物はピリ辛カレー。高1時に増量に苦心し「カレーは飲み物と聞いて1食でどんぶり3杯食べた」。毎食カレーで8キロ増に成功。

 <記者フリートーク アマ野球担当・北野将市>

 来田は高校時代から“鉄人”だった。1年秋、中堅の守備で安打性の打球にダイブした際に打球が胸の下に入り込み肋骨を骨折。母・理絵さんに病院の受診を勧められたが「行かん! 試合に出られなくなる」と自ら方法を調べテーピング。休むことなく試合に出続けた。2年時の選抜では大会直前に利き手の右手人さし指を骨折しながら、準々決勝の智弁和歌山戦で史上初の先頭打者&サヨナラ弾の離れ業を演じた。

 恩師の狭間善徳監督は「先輩にも後輩にも壁をつくらず、どこか憎めない。来田はそういう人間」と評していた。球団関係者は「よく練習もするし、何とかしてあげたい気持ちになる選手。ファームの首脳陣からも本当にかわいがられている」と証言する。ケガにも負けず、誰からも愛される。来田には一流の条件が備わっている。

 ▼オリックス・中嶋監督 まさかここまでとは思わなかった。やることは多いと思うが、それでも物おじしない。そういう姿勢はチームにも刺激になる。

 ▼オリックス・乾絵美スカウト(明石商時代の来田の担当スカウト)(オリックスJr.にいた)小学生のときから見ていた子がこんな活躍をするなんて。立派になったなと近所のおばちゃん的な感じで見ていました。

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