“ブレない”オリックス福田 25年ぶりリーグVの鍵握る新切り込み隊長

[ 2021年7月14日 09:00 ]

オリックス・福田
Photo By スポニチ

 14年以来7年ぶりの前半戦首位ターンを決めたオリックス。快進撃のけん引役が、福田周平内野手(28)。今春キャンプから外野挑戦し「1番・中堅」に定着。欠かせない戦力の1人となっている。

 「外野にコンバートさせてもらえないッスかね。このままじゃ試合に出られなくなる」。実は福田が、こう話したのは2年も前のこと。19年シーズン中から考えていた。同年、主に「1番・二塁」で135試合に出場。パ・リーグの現役単独最多まで、あと1と迫る45試合連続出塁も記録するなどレギュラーをつかみかけていた。

 それでも、球界屈指の守備力を誇る安達、自身より広い守備範囲を持つ大城との二遊間争いに、当時高卒新人だった太田、宜保も加わった競争は、し烈。危機感は募った。昨季終盤には、紅林がスケールの大きさを予感させるプレーを連発した。「試合に出られるなら、どこだってやる」。昨年末の契約更改の場で、福良GMに外野挑戦を直訴した。

 今年2月に本格始動し、中堅手としては、まだ半年。もちろん打球の追い方は一直線ではないし、危なっかしい時もある。だが、内野手経験をフル活用し、前に出る動きや俊足を活かして懸命にカバー。そして、経験不足の守備のマイナスを補って余りあるのが、トップバッターとしての素養だ。5月11日に再登録されて以降、福田が1番を外れたのは6月1日の阪神戦だけ。同2日から再び定位置に戻ると、チームは32戦20勝8敗4分けで、勝率・714だ。

 実は、個性的な性格の持ち主。1年目、登場曲にアニメ「地獄先生ぬ~べ~」の「バリバリ最強No.1」を選んだ理由を尋ねると、

 「だってバリバリ最強No.1ッスよ、カッコいいっしょ!」

 19年。京セラのビジョンで流れる「チャンス動画」が完成したと聞き感想を求めると、

 「打撃手袋を外すとね、ぬ~べ~の“鬼の手”なんスよ、カッコいいっしょ!」

 今春キャンプ。今回、外野挑戦について誰かからアドバイスというか、薦められたのかと聞いた時には、「助言者からっスね」。日常会話では、あまり馴染みのない単語だったので、思わず「助言者?」と聞き返すと、

 「助言者、変ですかね、助言者…。カッコいいっしょ!」
 空気を読まないというか、気にしないというか。愛嬌と感じるような何とも言えない魅力で、とにかく「ブレない自分」を持っている。そんな雰囲気に流されない男がチームの盛り上げ役にハマるのは自然かもしれない。

 理想のトップバッターは、MLB通算2428安打、622盗塁を記録したケニー・ロフトン氏。「ずっと安定している数字を残して出塁率も高くて。ああいう選手ですね」。

 球宴と東京五輪による約1カ月の中断期間を挟んで、8月13日のロッテ戦(ZOZOマリン)から再開する。今季の分岐点となりそうな後半戦最初の3連戦。「もう誰にもポジションを渡さないつもり。アピールを続けるだけです」。25年ぶりのリーグ優勝へ、良い形でリスタートできるか。新切り込み隊長に懸かっている。(記者コラム・湯澤 涼)

続きを表示

2021年7月14日のニュース