まさに「大谷の祭典」 右翼席で“お宝”争奪戦 本塁打のボールゲットで一躍英雄

[ 2021年7月14日 02:30 ]

MLB球宴本塁打競争 ( 2021年7月12日    デンバー )

大谷の最長513フィート弾をゲットしたマックス・ロジャースさん(撮影・杉浦大介通信員)
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 標高1600メートル地点にある「打者天国」クアーズ・フィールドで行われた本塁打競争は、計309本のアーチが乱れ飛んだ。最も盛り上がったのが、ロッキー山脈の雄大な景色も堪能できる人気エリアの右翼3階席。大谷のお宝ボールを巡る争奪戦をスポニチ本紙・杉浦大介通信員(45)がリポートする。

 ホームランダービー1回戦。8人の大トリで大谷がコールされた瞬間、右翼席の興奮は頂点に達した。多くのファンが球場名のスポンサーにもなっているビールを手に「ショーヘイ!」と大声を張り上げた。ここはナ・リーグの本拠地球場なのに、その熱狂ぶりは異常だ。

 私が陣取ったのは右翼3階席。本塁から約150メートルの地点にあるクアーズ・フィールド名物の「ルーフトップバー(The Rooftop)」の1段下の席だ。通路は立ち見の人たちでごった返していた。実は大谷は開始前の打撃練習で、このルーフトップバーの柵に直撃する超特大弾を放っていた。本番でもぶち当ててくれるのでは、との期待と熱気が充満していた。

 しかし、最初の30秒、打球がなかなか上がらない。「どうした?」という戸惑いの声も飛び交った。それでも中盤から徐々にペースを上げる。500フィート(約152.4メートル)超えは6本。そのたびに大の大人たちがもみ合う激しいボールの争奪戦が繰り広げられた。

 そのうちの1球を手に入れたのが、地元ロッキーズファンのマックス・ロジャースさん(24)。大谷が放ったこの日最長513フィート(約156.4メートル)の「お宝ボール」を見事にゲット。「大谷の打ったボールが近くに落下して、狂ったような騒ぎになった。目の前にあったから急いでつかみ取ったんだ!」と興奮気味にまくしたてた。本塁打競争で使用するボールには既に大谷のサインが…。一躍英雄となり、ボールを掲げながら周囲の観客としばらく写真撮影を続けていた。

 「投打両方でオールスターに出場する選手がホームラン競争にまで出るなんで信じられない。そして、こんなところまで打球を飛ばす選手がいるというのも信じられない。クレージーだよ」とロジャースさん。千両役者の出番は予想よりも短かったが、右翼席のボール争奪戦は「大谷の祭典」であることを証明していた。 (杉浦大介通信員)

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