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野球という仕事 森雄大はスライダーを捨て未来を掴んだ

<練習試合 西武・楽天>楽天・森は笑顔を見せながらベンチへ戻る
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 【君島圭介のスポーツと人間】3月12日のオープン戦・日本ハム戦(倉敷)。楽天の森雄大は2回、右打席の松本、清水から連続三振を奪った。5回2安打6三振4四球。数字を見れば課題の制球難は解消されていないように見えるが、決定的な違いがあった。

 5年目の左腕は登板を振り返り、「カットボールに助けられた」と切り出した。右打者の内角に食い込む変化球がそれだという。森の持ち球は直球、スライダー、カーブ、チェンジアップ。新球を習得した情報はない。そのはずだ。「取り組み始めたのは3日前」というのだ。

 カットボールを武器とする同じ左腕の阪神・岩貞の投球をインターネットの動画で研究。同僚にも握り方を聞いて回り、キャッチボールで試した。悪くない。与田投手コーチに相談してこの試合から使い始めた。その代わりに捨てたものがある。スライダーだ。

 森は球種によって軸となる指が違う。他の球種が第5指(小指)を軸に使うのに対し、スライダーだけは第2指(人さし指)が軸になっていた。それを指摘し、小指を軸に一本化することを薦めたのがストレングス&コンディショニング(S&C)グループチーフの星洋介だった。

 「森は直球を投げるとき、肘とリリースポイントが前に出て、指が立った状態だから球にきれいな回転がかかる。腕が縦振りなので、カーブもチェンジアップもうまく抜ける。だが、スライダーだけは指が寝て横振りになっていた」

 肘を90度に曲げ、手のひらを開いて手首を回すとわかりやすい。小指軸か人さし指軸かの違いで前腕の筋肉や腱の使い方が違う。森の場合は人さし指を軸にした投げ方が合わなかった。直球や他の変化球は決まるが、スライダーだけは制御できない原因だった。

 カットボールを薦めたのも星だ。森の投球メカニズムを解析した末、トレーナーの見地から「腕の振りを統一した方がいい」と助言した。カットボールなら指を横にずらすだけ。腕は直球と同じ縦振りで投げられる。それでもわずか3日で習得できたのだから、よほど理にかなっていたのだろう。

 森の素質を疑うものはいない。94年生まれ。日本ハム・大谷、阪神・藤浪、広島・鈴木、ソフトバンク・田中らと同世代で広島との1位競合の末、東福岡からドラフト1位で13年に楽天に入団した。「左のエース候補」と呼ばれながら4年がたった。その間、1軍ではわずか2勝で5年目を迎えた。

 高卒入団なら「大学に行ったと思えば」と最初の4年間は長い目でも見てもらえる。今年は森にとって結果が求められるシーズンだ。勝負の年、これまで決め球にしながら制御できなかったスライダーを捨て、新たな武器を手にした。(敬称略、専門委員)

 ◆君島 圭介(きみしま・けいすけ)1968年6月29日、福島県生まれ。東京五輪男子マラソン銅メダリストの円谷幸吉は高校の大先輩。学生時代からスポーツ紙で原稿運びのアルバイトを始め、スポーツ報道との関わりは四半世紀を超える。現在はプロ野球遊軍記者。サッカー、ボクシング、マリンスポーツなど広い取材経験が宝。

[ 2017年3月19日 10:15 ]

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