照ノ富士 両膝手術乗り越え復活優勝 50日以上連続休場からの復帰場所Vは大鵬以来2人目

[ 2023年5月28日 04:45 ]

大相撲夏場所14日目 ( 2023年5月27日    両国国技館 )

喉輪で押しながら霧馬山を寄り切る照ノ富士(撮影・西海健太郎)
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 4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が関脇・霧馬山を下し、13勝1敗で千秋楽を待たずに昨年夏場所以来6場所ぶり8度目の優勝を決めた。本場所を50日以上休場しての優勝は大鵬に次いで2人目。3場所連続全休明けで優勝の横綱は1968年秋場所の大鵬、89年初場所の北勝海に次いで3人目。大関昇進が決定的な関脇・霧馬山は11勝3敗になった。

 霧馬山を寄り切ると、細く長い息をついた。込み上げたのは両膝を手術した昨年10月以来の記憶だろうか。照ノ富士は静かな言葉で心情を吐き出した。

 「いろんな思いがあって臨んだ場所なんで。一日一日をいかに過ごしていくか。気が抜けたときもあったが、頑張って良かった」

 長かった道のりを体現した土俵だった。得意と逆の左四つ。霧馬山に頭をつけられ、まわしが遠い。それでも左、右と前まわしから引いて反撃開始。右を巻き替え、得意の右四つになった。そして、出た。最後は右まわしを離して喉輪で押しながら寄り切った。

 4場所連続休場明けでの優勝は、抜きんでた地力の証だ。昨年秋場所から途中休場し、10月に両膝を手術。さらに3場所連続全休したため休場日数は計51日に達した。

 50日以上休場した横綱は8人目で、休場明けで優勝したのは68年秋場所の大鵬(57日休場)のみ。その快挙に半世紀を超えて続いた。

 「もう一回頑張る気持ちで手術して、無駄に過ごしたくないという思いでした」

 手術以降、トレーニングができなかったため体重は20キロ落ちた。両膝が回復したことで食事量を一気に増やして筋力強化に励むと、今度は糖尿病の症状が出た。数年前にも苦しんだ持病が再発。それでも地道に治療とトレーニングに励み、戦える体をつくってきた。場所前には大関獲りをかなえるため出稽古にくる霧馬山に積極的に胸を出し、自らの発奮材料にもした。

 「勢いのある若い力士とやりたい気持ちは変わらない」

 6月11日にドルジハンド夫人との結婚披露宴を都内のホテルで開く。大関から十両に陥落する前の18年2月に結婚し、序二段から関脇まで復帰した21年2月に挙式した。コロナ下の当時、出席者は十数人で式は30分ほどで終了。今回、披露宴を開くホテルは大規模会場となり、その晴れ舞台に花を添えることを目指してきた。横綱・照ノ富士の第2幕が開いた。

 ≪大鵬は57日連続休場から復帰場所V≫50日以上連続で休場した横綱は過去8人。うち復帰場所で優勝したのは大鵬と照ノ富士の2人だけ。大鵬は68年初場所4日目から名古屋場所千秋楽まで57日連続休場。復帰した秋場所は2日目から14連勝で優勝した。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)照ノ富士はよく頑張った。最高でしょう。精神的にもやっぱり横綱だ。15日間、相当疲れているのではないか。膝はそうそう治るものではないと思うが、どっしりしてきた感じがする。

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