阿炎 不祥事を共に乗り越えてくれた入院中の師匠に「迷惑しかかけてこなかった。少しでも喜んでくれたら」

[ 2022年11月27日 18:38 ]

大相撲九州場所千秋楽 ( 2022年11月27日    福岡国際センター )

<大相撲九州場所15日目>優勝杯を手にする阿炎(撮影・中村 達也)
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 大相撲九州場所は27日、福岡国際センターで千秋楽の取組が行われ、西前頭9枚目・阿炎(28=錣山部屋)が、大関・貴景勝(26=常盤山部屋)、前頭筆頭・高安(32=田子ノ浦部屋)との巴戦による優勝決定戦を制して初優勝を果たした。3人による優勝決定巴戦は、曙と貴ノ浪と貴闘力で争った94年春場所以来28年ぶりとなった。

 優勝決定巴戦で初優勝し、賜杯、優勝旗、内閣総理大臣杯を受け取った後、土俵脇でインタビューに応じたた阿炎。初優勝を決めた今の気持ちを聞かれ「まだ何か嘘のような感じで。すごく高ぶってます」と笑顔。巴戦で連勝し初優勝が決まった瞬間の感想は「なんとも言えないような感じでした」と、これまた素直な言葉を口にし、大きな拍手を浴びた。

 2020年には7月場所の前と場所中に接待を伴う飲食店での会食が発覚。新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で一度は引退届を提出したが受理されず、3場所出場停止処分を受けた。

 入院中の錣山親方からは連日連絡がきたと話し、どう報告するかという問いには「まだ病院にいると思うので電話できない。メールで“おかげさまで”と言いたいと思います」。苦しい時もずっと味方になってくれ支え続けてくれた師匠に対して「本当、迷惑しかかけてこなかった。少しでも喜んでくれたらいいなと思います」と表情を引き締めた。

 師匠とともに支えになってくれた家族には「早く会いたい。ずっと見ててくれたと思う。言葉ではなく一緒にいたい」と感謝。7月末に右肘と左足首を手術して秋場所を全休。休場明けの今場所の相撲内容は「すごく状態もいい感じで迎えることができた。調整もしっかりできた。ちゃんと師匠の言う通り運動してきた。それがあってこの成績が取れたと思う」と手応えを感じたという28歳は「来年はもっと力強い相撲が取れるようになりたい」と力強く誓った。

 単独トップの高安と1差の11勝3敗で千秋楽を迎えた阿炎は、本割で高安と直接対決。過去4勝4敗と互角も今年の2度の対戦はいずれも勝っており、その勢いのまま突き倒しで高安を下して12勝3敗で優勝決定戦へと持ち込んだ。前日に「自分の相撲を思い切り取れるか。そこだけ」と話していた通り、決定戦でも平常心を貫いて高安、貴景勝に執念の2連勝。今年は6場所で全て優勝者が異なり、7月の名古屋場所の逸ノ城、9月の秋場所の玉鷲に続き、3場所連続の平幕優勝は史上初となった。

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