内村に続いた!橋本、体操男子個人総合で五輪とダブル金「準備してきたことを一つ一つ丁寧にできた」

[ 2022年11月6日 04:50 ]

個人総合で優勝を決めて喜ぶ橋本(AP)
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 体操の世界選手権第7日は4日、英リバプールで男子個人総合決勝が行われ、昨夏の東京五輪2冠の橋本大輝(21=順大)が6種目合計87・198点で初優勝を飾った。日本勢の金メダルは内村航平が6連覇を達成した15年大会以来7年ぶり5人目で、五輪との両大会制覇は内村に続く2人目の快挙。予選を1位で通過した谷川航(26=セントラルスポーツ)は85・231点で初のメダル獲得となる3位に入り、14年大会以来の日本勢ダブル表彰台となった。2連覇を狙った張博恒(中国)が2位だった。

 東京五輪金メダリストが輝きを取り戻した。首位に立っていた橋本は最終種目の鉄棒で着地をピタリと決めると、充実感に満ちた表情を浮かべた。スコアが表示されると、優勝を確信し、派手にガッツポーズ。「今日は得点とかあまり関係なく、準備してきたことを一つ一つ丁寧にできた。調子も良かったですし、自分自身をコントロールできたと思います」と胸を張った。

 昨年の北九州大会では張博恒にわずか0・017点差で2位。着地の乱れに泣いた。「勝敗を分けるのは着地」と痛感。体幹を強化し、日々の練習でも必ず基本の1回宙返りを繰り返すなど理想の着地を追い求めた。

 大会直前に両手首を痛めた影響で、予選はあん馬で落下して2位通過。だが、決勝では鬼門のあん馬で1位の14・333点をマークする修正力を見せ、鉄棒ではF難度の離れ技「リューキン」こそ回避したが、最後は完璧な後方伸身2回宙返り2回ひねり降り。首位を守り切った

 五輪、世界選手権の両大会での個人総合制覇は、日本人では「キング」と呼ばれた内村以来の快挙。橋本は「“着地を止めろ”と言われていた。鉄棒以外は全然止まらなくて、最後はめちゃくちゃ狙いにいった。止まった時は(内村)航平さんの顔が浮かびましたよ」と笑った。

 1年前の悔しさを晴らし、偉大な先輩に続く「真の世界王者」に成長した。24年パリ五輪に向け、日本のエースは「来年は今年よりも、さらにいい演技をしたい」と誓った。

 ≪内村氏、橋本は「世界最強です。真の」≫内村氏はテレビの生中継にスペシャルゲストとして東京のスタジオから演技を見守った。今年1月に日本協会新設のアドバイザーコーチに就任。国内合宿は毎日のように足を運んでアドバイスを送った。ダブル表彰台が決まると「2人とも僕以来の快挙。受け継いでくれてありがとう」と喜び、自身と同じく五輪、世界選手権で金メダルを獲得した橋本を「世界最強です。真の」と絶賛した。

 ◇橋本 大輝(はしもと・だいき)2001年(平13)8月7日生まれ、千葉県成田市出身の21歳。2人の兄の影響で6歳から体操を始め、千葉・市船橋高3年の19年世界選手権に、白井健三以来史上2人目となる現役高校生の日本代表選手として出場し、団体総合で銅メダル。19歳で迎えた21年東京五輪では個人総合で史上最年少王者に輝き、種目別鉄棒と合わせて2冠。団体総合銀メダルを獲得した。1メートル67、58キロ。

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