柔道・大野将平 リネールとの対談明かす「実のある話ができた」

[ 2022年7月21日 23:33 ]

柔道の交流会を終え、記念撮影する大野将平(後列左から2人目)、エムバペ(同3人目)、リネール(同右端)ら
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 柔道男子73キロ級で五輪2連覇中の大野将平(30=旭化成)が21日、来日中のサッカー・フランス1部の強豪パリ・サンジェルマン(SG)と柔道を通じて交流。同じ組織の柔道クラブに所属している五輪2連覇を含む4大会連続メダル獲得中の“絶対王者”こと、100キロ超級のテディ・リネール(33=フランス)と、じっくりと話し込んだことを明かした。

 午前にはパリSGの宿舎ホテルで、午後には東京都文京区の柔道の総本山・講道館でリネールと共にスーパースター軍団と交流した大野。前日には国立競技場で行われた川崎F戦も生観戦。講道館ではエムバペと大外刈りを掛け合い、「“技の時のステップ(足の運び)を教えてくれ”と言われた。好奇心が旺盛と感じた」と話した。

 昨夏の東京五輪以来、1年ぶりに再会したリネールとは、「質問したいことが多くあったので、時間をいただいた」と大野からオファーし、前日に対談が実現。地元開催となる24年パリ五輪で3度目のチャンピオンを目指す絶対王者からは「同じレベル、同じ境地、同じ道で、現役で闘えているのは大野しかいない」と言葉を掛けてもらったそうで、「光栄だった。実のある話ができた」と振り返った。

 東京五輪で2連覇を達成した大野は、今年4月の体重無差別で争う全日本選手権で実戦復帰。一方で自身の階級ではこれまで国内外の大会にエントリーこそしたものの、ケガなどを理由に欠場し、復帰しないまま五輪から1年が経過しようとしている。3連覇の懸かるパリ五輪を目指すかどうかも態度を保留したまま。そんな自分の立場を理解できるのは、銅メダルにとどまったものの東京五輪で3連覇を目指して日本武道館の畳に立ったリネールのみとの思いが、今回の対談を要望した理由とみられる。

 「いま、柔道界で自分よりも成績を残しているのはリネール選手くらいしか、正直いない。良いお手本として先頭を走ってくれるのはありがたいこと」。自身も孤高の存在である大野にとっては、現役唯一のメンターがリネール。じっくりと話し合い、今後の柔道人生の針路が定まったか?との問いには「純粋に話したかっただけ。コミュニケーションを取りたかった」とけむに巻いたが、得るものが大きかったかのように、スッキリとした表情を浮かべた。

 交流会に参加した柔道界唯一の五輪3連覇王者で大野の天理大の先輩に当たる野村忠宏氏(47)も、「自分も3連覇を目指す過程では、一度柔道から離れた。(目指すかどうかは)彼の自由。ただ、チャレンジする姿、その過程は見てみたい。気が乗らないなら“辞めろ”と言っている」と話し、静かに見守る考えを示した。

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2022年7月21日のニュース