22歳花車咲いた 男子200平泳ぎ銀、守った日本のお家芸 24年パリで「戦える」

[ 2022年6月25日 02:15 ]

水泳 世界選手権第6日 ( 2022年6月23日    ハンガリー・ブダペスト )

男子200メートル平泳ぎ決勝、最後の50メートルで順位を大きく上げる花車優(撮影・小海途 良幹)
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 男子200メートル平泳ぎ決勝で、初出場の花車(はなぐるま)優(22=キッコーマン)が2分8秒38で銀メダルを獲得した。お家芸と称されるこの種目で日本勢は3大会連続の表彰台。東京五輪代表の武良竜也(25=ミキハウス)は2分8秒86で4位に入った。男子100メートルバタフライ準決勝は水沼尚輝(25=新潟医療福祉大職)が自らの日本記録を0秒05更新する50秒81をマークして全体2位で決勝に進んだ。

 初代表の花車が途切れかけていた日本の伝統をつないだ。150メートルのターンは8人中6番手。余力を持って迎えたラスト50メートルでするすると前に出た。自己ベストから0秒39遅れたが、持ち味の後半に強さを発揮。スウェーデン選手と同タイムで銀メダルを分け合い「自己ベストを出せず、ちょっと悔しいが、メダルを獲れてホッとしている。この種目でしっかり世界と戦わなきゃいけない使命感があった」と振り返った。

 丸亀高2年時の総体で平泳ぎ五輪2大会連続2冠の北島康介氏を育てた平井伯昌コーチから直接声をかけられて東洋大に進学。大学1年時のユース五輪200メートル平泳ぎで金メダルなど頭角を現したが、20年に腰痛を発症した。3カ月以上も満足に練習を積めなかったが、故障を機に上半身と下半身をつなぐ腸腰筋や骨盤周りを強化。腰を痛めにくい水の抵抗の少ないキックの習得にも取り組み進化につなげた。レース後に平井コーチは「初代表らしからぬ落ち着きだった」と目を細めた。

 男子200メートル平泳ぎは北島康介が五輪2連覇し、世界選手権でも全種目を通じて日本勢が最も多くのメダルを獲得してきた種目。日本のお家芸と称されるが、昨夏の東京五輪は武良の7位が最高成績だった。花車の自己ベストは日本記録保持者の佐藤翔馬(21=東京SC)より1秒以上遅く、国内現役選手で5番手。ダークホース的な立場からお家芸の崩壊危機を救い「(24年)パリ五輪でも戦える自信になった」と胸を張った。

 名字由来ネットによると「花車」の姓は全国で約50人。珍名の新星がパリのメダル候補に名乗りを上げた。

 ◇花車 優(はなぐるま・ゆう)2000年(平12)1月28日生まれ、香川県坂出市出身の22歳。生後半年から水泳を始める。丸亀高2年時の高校総体で男子100メートル平泳ぎ優勝。東洋大1年時のユース五輪で男子200メートル平泳ぎ優勝。平泳ぎの自己ベストは100メートルが59秒72、200メートルが2分7秒99。キッコーマン所属。1メートル81、70キロ。

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