元世界ランキング1位・スピース 見えてきた光 完全ではなくとも…4年ぶりVへの期待

[ 2021年2月16日 14:30 ]

ジョーダン・スピース(AP) 
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 【福永稔彦のアンプレアブル】男子ゴルフの元世界ランキング1位でメジャー3勝、米ツアー11勝を誇るジョーダン・スピース(27=米国)が長いスランプから抜け出そうとしている。

 今月4~7日に開催されたフェニックス・オープンでは、第3日に米ツアーでの自己ベストとなる61の好スコアを叩き出し首位に浮上。最終的に4位で大会を終えた。

 さら翌週のAT&Tペブルビーチ・プロアマでは第2日に首位に立つと、第3日もその座を守った。2打リードで臨んだ最終日は5バーディー、3ボギーの70。同世代の盟友ダニエル・バーガー(27=米国)に逆転優勝を許したものの、3位となり3年ぶりに2試合連続トップ5入りを果たした。

 12年にプロ転向したスピースは、19歳で出場した13年ジョンディア・クラシックで初優勝。米ツアーでは1931年以来82年ぶりに10代の優勝者になった。15年にはマスターズと全米オープンを含む5勝を挙げて、世界ランキング1位に登り詰めた。

 強さを支えていたのはパットだ。1ホールの平均パット数では15年と16年は1位、17年は2位にランクされた。しかし、18年には48位まで急降下。特にショートパットが入らなくなった。精神的な原因で動作がうまくできない「イップス」の可能性も指摘された。その後、ショットも不振に陥り、かつての強さは影を潜めた。今年1月末の世界ランキングは92位に低迷していた。

 ここ2試合は勝負所でのパットのうまさが光る。フェニックス・オープン第3日は名物ホール16番パー3で11メートル、続く17番では8メートルのバーディーパットを沈めて観客を熱狂させた。このラウンドで決めたパットの総距離は125フィート7インチ(約38メートル)で1位だった。

 課題はティーショットの精度だ。フェニックス・オープンでのフェアウェーキープ率は41・07%で130位。AT&Tペブルビーチ・プロアマでも58・93%で110位にとどまり、最終日は14ホール中6ホールしかフェアウェーを捉えられず、V逸の原因になった。
 ペブルビーチ・リンクスでの戦いを終えたスピースは「54ホールを終えて首位に立ったことは素晴らしい。でも同時にベストではないと分かっていたので、勝つのは難しかった」と振り返った。

 まだ完ぺきとは言えない。それでも、17年全英オープン以来4年ぶりとなる優勝の可能性は高まっている。(スポーツ部専門委員)

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2021年2月16日のニュース