五輪・パラ組織委の後任会長、聖子氏は固辞…小谷実可子氏が急浮上、大地前長官と“男女ペア案”も

[ 2021年2月16日 05:31 ]

昨年11月、国立競技場を視察に訪れたIOCバッハ会長(左)と話す小谷実可子氏
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 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が失言で辞任することを受けて、組織委と政府が後任候補として一本化していた橋本聖子五輪相(56)が周囲に固辞する意向を示していることが15日、分かった。橋本氏は過去のセクハラ騒動が問題化することを強く不安視しており、翻意する可能性は極めて低い。16日にも第1回候補者検討委員会が行われ、組織委の小谷実可子スポーツディレクター(54)を最有力として一気に動きだす。

 組織委、政府が一本化していた橋本氏は、森氏が川淵氏を後継指名したことが批判を浴び、“川淵降ろし”が起きた11日夜に名前が挙がった。橋本氏には過去のセクハラ騒動や懐事情の問題など不安要素があったが、与党関係者は「派閥の先輩でもある森氏が依頼すれば、橋本氏は受けると思われていた」と話した。

 そんな中、セクハラ騒動が海外に広がり、国際オリンピック委員会(IOC)もこの件に難色を示した。これが大きく影響。橋本氏は周囲に「正式な依頼があっても断る」と話した。同関係者は「唯一、鈴を付けられる存在だった森氏が依頼に乗り出すことができなくなったことで、橋本氏は固辞した」と語った。

 小谷案は、大会主催都市の東京都から出てきた。スポニチ本紙の取材によると、小谷氏に感触を聞いた関係者は「小谷さんは依頼されれば受けてくれる感じが十分にあった」と話しているという。

 小谷氏は英語に堪能で、東京大会の招致活動に尽力した経緯もある。12日に会見した組織委の武藤俊郎事務総長(77)は、会長の資質として五輪・パラリンピックについて何らかの経験があることと、「ジェンダーイコーリティー(男女平等)」「ダイバーシティ(多様性)」「インクルージョン(包括性)」の3つを挙げた。組織委の関係者は「小谷さんはこれらに当てはまる」と話す。日本オリンピック委員会(JOC)理事も務め、選手の立場でも諸処の問題に向きあえる。若さと女性という、世間から求められている条件も満たす。

 大会が予定通り開催されても、万が一中止となったとしても、新会長は難役。コロナの対応は政府の領域のため、大会が開かれるとなれば感染予防対策や観客の有無など、政府との密なやり取りが必要となる。中止となった場合でも、政府や東京都だけでなく、IOC、スポンサーなどとの交渉に臨むことになり、そこには補償問題が含まれることも考えられる。与党関係者は「小谷さんの唯一の不安は政治的な経験がない。手腕に不安が残る」と語る。だが、政府関係者は「森氏も首相もサポートするはず。バックアップがあるだろう」と話した。

 森氏の問題発言の騒動直後、IOCからは新会長について“男女ペア案”が出た。鈴木大地前スポーツ庁長官(53)との共同会長体制が敷かれるというサプライズがあるかもしれない。

 ◆小谷 実可子(こたに・みかこ)1966年(昭41)8月30日生まれ、東京都出身の54歳。桐朋女高―日大卒。小4でシンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)を始め、高校時代に米国へ単身留学。88年ソウル五輪では女性初の日本選手団の旗手を務め、ソロとデュエットで銅メダル獲得。92年バルセロナ五輪では代表に選出されたが、本番では出番はなく、五輪後に現役引退。2020年東京五輪招致活動にはアスリートアンバサダーとして関わる。現在はJOC理事、組織委員会スポーツディレクター。2児の母。

 【組織委会長問題経過】
 ▽2月3日 森氏は日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会に出席。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」などの発言が報じられ、女性蔑視として批判される。
 ▽4日 森氏は会長職を辞任する意向も組織委の幹部の慰留により続投。会見で謝罪し、発言を撤回した。国際オリンピック委員会(IOC)は「この問題は解決した」という声明を発表。
 ▽7日 組織委が森氏の発言に「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切なもの」との声明を発表した。
 ▽8日 自民党の二階俊博幹事長は、森発言によるボランティアの辞退に関して「瞬間的」とし、「落ち着いて静かになったらその人たちの考えもまた変わる」などと発言し、批判された。
 ▽9日 IOCは森氏の発言について「完全に不適切」とする声明を発表。不問としていた態度を一変させた。
 ▽10日 小池百合子東京都知事が、IOC、組織委、政府との4者会談について出席しない意向示す。また、森氏の発言に五輪・パラリンピックの最高位スポンサーのトヨタ自動車は「トヨタが大切にしてきた価値観と異なり、誠に遺憾だ」と豊田章男社長のコメントを発表。
 ▽11日 森会長が辞意を固める。川淵三郎評議員会議長に後任の会長職を打診し、内諾得る。
 ▽12日 森会長が正式に辞意表明。川淵氏の就任に政府が難色を示し、白紙となり、橋本五輪相が後任に浮上した。

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