荒磯親方 引退の琴奨菊に感謝「一緒に戦ってきて良かった」 稽古でも貴重な存在

[ 2020年11月16日 05:30 ]

琴奨菊が引退会見 ( 2020年11月15日 )

2018年1月、琴奨菊(右)と稽古する稀勢の里
Photo By スポニチ

 【荒磯親方 真眼・特別編】琴奨菊とは入門が1場所違いで、それから何千回と稽古を積んできましたが、あの稽古がなければ私は横綱に上がれなかったと思っています。本場所では66回対戦し、勝とうと思って研究しました。それがいろんな相撲につながりました。対戦のほとんどが上位だったことは胸を張れることです。一場所でも長く取ってほしいと応援していたので、寂しさもあります。

 琴奨菊の凄さは出足の強さでした。ギアを入れた瞬間、下からあおられて体が伸びて全く力が入らなくなりました。ぶちかましの強さもありました。稽古場では一つも力を抜かずに目いっぱい出してきました。そういう力士が少なくなってきて、貴重な存在でした。

 お互いに意識して上がってきて、大関時代はほとんど会話がありませんでした。彼が先に優勝して、自分はその後に優勝して横綱に上がったのですが、最初の綱打ちの時には手伝いに来ていただきました。複雑な気持ちのはずなのに、先陣を切って笑顔で綱打ちをしている姿を見て、グッときました。一緒に戦ってきて良かったと思えて、一番印象に残っている瞬間でした。

 相撲に対して愚直で、熱さもあります。体についても研究していて、メンタルでも人と違うものを持っています。そういう第二の琴奨菊を育ててくれることを期待しています。19年間、本当にお疲れさまでした。(元横綱・稀勢の里)

続きを表示

2020年11月16日のニュース