香妻陣一朗 きょうだいV 最終18番イーグルで逆転 姉・琴乃が祝福「鳥肌立った」

[ 2020年11月16日 05:30 ]

男子ゴルフツアー 三井住友VISA太平洋マスターズ最終日 ( 2020年11月15日    静岡県 太平洋クラブ御殿場C=7262ヤード、パー70 )

ツアー初優勝を飾り、手荒く祝福される香妻(右)=撮影・西尾 大助
Photo By スポニチ

 プロ8年目の香妻陣一朗(26=フリー)が1打差を追った最終18番でイーグルを奪って68の通算8アンダーとし、木下稜介(29=ハートランド)を逆転して涙の初優勝を飾った。姉の琴乃(28)は女子ツアー1勝で、きょうだいで男女両日本ツアーを制したのは史上3組目。1打差2位は木下、3位にはアマチュアの中島啓太(20=日体大)が入った。

(8年目やっと/) 絵に描いたような最終ホールでの逆転劇だ。1組後の木下を1打差で追う18番パー5。香妻は「勝つためにはイーグルしかない」と自らに言い聞かせる。フェアウエー残り230ヤードからの5Iでの第2打は、ピンの根元20センチについた。「近いとは思ったけどあれほどとは。緊張もしない近さでした」。難なくイーグルを奪って一気に逆転した。

 木下がパーで終わり優勝が決まると、鹿児島で横峯さくらの父・良郎氏が主宰していた「めだかクラブ」で一緒に練習した出水田大二郎ら、仲間から「ペットボトル15本」のシャワーを浴びた。「長かったけど、やっと勝てた。姉にも両親にも感謝したい」と涙もこぼれた。

 ツアー8年目。16、17年とシードを獲得したが、18年はシード落ちした。「ずっと勝てないのではないか」とゴルフをやめることも考えた。18年に姉・琴乃が東海クラシックで初優勝。美人プロとして注目される姉と比較され「焦りはないけど、悔しい気持ちはありました」と振り返る。

 1メートル65と恵まれたサイズではなく「大きい人に勝つにはショートゲームで勝つしかない」とアプローチ、パターに活路を探ってきた。昨年の平均パット数は1・73で3位、今季も1・76の8位につけている。この日も序盤で3つ伸ばした後、6番では池に入れてダブルボギー、続く7番もボギーで後退したが、「きょうもいいパットがあった。8番をきっかけに耐えることができた」。10メートルのバーディーパットを決めて悪い流れを断ち切った。

 男女ツアーのきょうだい優勝は中嶋きょうだい、宮里きょうだいに続く史上3組目。今季最終戦の日本シリーズ、同時に来年1月の米ツアーのソニー・オープンの出場資格も獲得し「めっちゃうれしい」と笑顔で締めくくった。

 《宮里家23勝》きょうだいで男女両日本ツアーを制したのは過去2組。男子ツアー通算48勝の中嶋常幸と女子ツアー通算4勝の妹・恵利華(現在の登録名はエリカ)と、男子ツアー通算1勝の長兄・宮里聖志、同7勝の次兄・優作、女子ツアー通算15勝の妹・藍がいる宮里きょうだい。

 ▼香妻琴乃 優勝おめでとうございます!最終ホールのイーグルは弟らしいプレーで本当に鳥肌が立ちました。周りの同世代が初優勝をあげる中で焦りがあった時もあると思いますが、ひた向きに頑張っていた姿を見ていたので心からうれしいです。

 ▼2位木下稜介 16、17番といい形で来たのに、18番で逆転されて…。来週から頑張ります。(入ればプレーオフだった18番のバーディーパットは外れ、1打及ばず初優勝を逃す)

 ▼3位中島啓太 ボギー先行の後も我慢できた。悔しいけど、最後まで頑張れたと思う。(昨年の金谷に続き2年連続アマ優勝と期待されたが、2打差の3位)

 《勝者のクラブ》▼1W=スリクソンZX7(ロフト角9・5度、シャフトの長さ45インチ、硬さX)▼3W=テーラーメイドMグローレ(15度)▼2、3UT=スリクソンZX(18度、20度)▼4、5I=同ZX5▼6I~PW=同Z―フォージド▼ウエッジ=クリーブランドRTX2・0プレシジョン・フォージド(52、58度)▼パター=オデッセイミルドコレクション♯6M▼ボール=スリクソンZ―STAR

 ◆香妻 陣一朗(こうづま・じんいちろう)1994年(平6)7月7日生まれ、鹿児島県出身の26歳。父親の影響で2歳からクラブを握る。宮崎・日章学園高3年の12年日本アマ3位。13年からツアーに出場し、昨年はダイヤモンド・カップ8位がベストの賞金ランク33位。1メートル65、71キロ。

続きを表示

この記事のフォト

2020年11月16日のニュース