琴奨菊 引退に悔いなし「できることは全て土俵に置いてきた」

[ 2020年11月16日 05:30 ]

引退会見を行った琴奨菊(日本相撲協会提供)
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 日本相撲協会は15日、臨時理事会で元大関の西十両3枚目・琴奨菊(36=佐渡ケ嶽部屋)の現役引退と、年寄「秀ノ山」の襲名を承認した。オンライン会見に臨んだ琴奨菊は自分の相撲が取れなくなったことを引退の理由に挙げ、時折涙を浮かべた。膝や大胸筋のケガなどに見舞われながらも36歳まで理想の相撲を追求し、全てを出し切った。今後は佐渡ケ嶽部屋付きの親方として後進の指導に当たる。

 【琴奨菊に聞く】

 ――現役を終えて。
 「できるなら相撲が取りたいというのが本音」

 ――悔いはあるか。
 「やるべきことは全てしたが、この引き際を逃しても。長く相撲を取ることを目標にしていたのではなく、自分を追求したら長くなった」

 ――最後に家族が来た。
 「国技館で息子に相撲を見せられたことはうれしく思う。できることは全て土俵に置いてきたつもり」

 ――どんな力士を育てたい?
 「壁にぶつかり、その先を知らずに苦しむ子がたくさんいる。勇気を与え、その先の光景を見せられるような指導をしていきたい」

 ――横綱への思いは。
 「横綱になりたくて入門して、力及ばず悔しい。その分、苦しみ、違う方向性で相撲を追求できたことは今後に生きると思う」

 ――長男は力士にしたいか。
 「相撲の素晴らしさは身に染みて分かったので、本人にその気持ちがあれば、相撲界でいろんなことを経験してもらいたいと思う」

 ◆琴奨菊 和弘(ことしょうぎく・かずひろ)本名・菊次一弘(きくつぎ・かずひろ)1984年(昭59)1月30日生まれ、福岡県柳川市出身の36歳。小学3年の時に相撲を始め、高知の明徳義塾中・高に進学。国体など高校7冠で佐渡ケ嶽部屋に入門。02年初場所で初土俵を踏んだ。05年初場所新入幕。11年秋場所後に大関昇進を決め、口上には宮本武蔵の著書を参考に「万理一空」を使い「目標を見失わず、努力を続ける」思いを込めた。16年初場所で初優勝。17年春場所で関脇に転落した。優勝1回。殊勲賞3回、技能賞4回。得意は左四つ、寄り。1メートル81、186キロ。

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