17年ぶり“戦国場所”2敗で9人!若隆景、ベテラン撃破で“統一”名乗り

[ 2020年9月21日 05:30 ]

大相撲秋場所8日目 ( 2020年9月20日    両国国技館 )

宝富士(右)を寄り切りで破って2敗を守った若隆景(撮影・郡司 修)
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 優勝争いトップに2敗の9人が並ぶ大混戦となった。自己最高位、西前頭8枚目の若隆景は宝富士を寄り切って2敗をキープ。現役では横綱・白鵬に次ぐ幕内勝率7割超えの男がダークホースとして浮上した。1敗だった大関・貴景勝は栃ノ心のはたきに屈し、平幕の琴勝峰、翔猿も連勝が止まった。

 初志貫徹で若隆景が優勝争いトップに並んだ。「(相手得意の)左を差させたくなかった」。立ち合いから右おっつけで宝富士の左を封じる。右をねじ込むと巻き替えられたが、再び右で強烈におっつけて差す。さらに左も差すと一気に寄り切り。「下から、下からの意識で行けた。攻め続けないと自分の相撲を取れない。体がよく動いていると思います」。三役経験がある33歳のベテランを会心の内容で破り、声が弾む。

 自身の出番前に平幕の琴勝峰、翔猿が敗れ、結びでは大関・貴景勝にも土が付いた。8日目を終えて全勝、1敗がいないのは03年名古屋場所以来。この時は優勝争いトップの2敗に10人が並んだ。今回も9人がひしめく大混戦となった。幕内後半を務めた高田川審判長(元関脇・安芸乃島)は優勝候補に貴景勝、正代、朝乃山、照ノ富士を挙げ「(番付)下の方はたまたまだから」と予想した。

 “ダークホース”の若隆景には侮れないデータがある。新入幕の昨年九州場所は右足首負傷で5日目から休場したものの、初日から4連勝。幕内復帰した7月場所は10勝5敗。今場所6勝2敗と合わせて幕内勝率・714となる。現役では6割台の横綱・鶴竜、大関・貴景勝らを抑え、横綱・白鵬の・845に次ぐ高い数字だ。

 貴景勝に土がつく前に国技館を離れた若隆景は「一日一番、思い切り相撲を取りたい」と平常心を強調していた。今年1月に長男が誕生し、夫人と長女、次女と合わせて5人家族。コロナ禍でステイホームが推奨された期間は育児もサポートし絆は深まった。その力を土俵にぶつける。

 〇…8日目終了時点でトップに9人が並ぶのは、2敗で10人の03年名古屋場所以来の多さだ。2敗が首位で折り返すのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降で68年夏場所、75年名古屋場所と合わせて4度目。03年名古屋場所は最終的には魁皇が千代大海との千秋楽相星決戦を制し、12勝3敗で優勝。出場力士で最高位の東大関として責任を果たした。

 ◆若隆景 渥(わかたかかげ・あつし=本名大波渥)1994年(平6)12月6日生まれ、福島市出身の25歳。荒汐部屋。小1から相撲を始め、学法福島から東洋大。16年に全国学生選手権の個人2位。17年春場所で三段目最下位格付け出しで初土俵を踏む。祖父は元小結・若葉山。父は元幕下・若信夫の政志さん。兄2人は同部屋所属の十両・若元春と幕下・若隆元。3兄弟のしこ名は「3本の矢」で有名な戦国武将・毛利元就の3人の息子に由来する。得意は右四つ、寄り。1メートル80、129キロ。

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