朝乃山、恩師へ“弔い星” 近大・伊東監督急死に「勝ちたい気持ちが強かった」

[ 2020年1月19日 05:30 ]

大相撲初場所7日目 ( 2020年1月18日    両国国技館 )

故人を偲ぶ朝乃山 (撮影・白鳥 佳樹)
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 新関脇・朝乃山が天国へささげる白星を飾った。18日午前0時30分に母校・近大相撲部の伊東勝人監督が55歳で急死。悲しみの中、北勝富士を寄り切り2敗を守った。全勝の正代が豪栄道に敗れたため、1敗のトップに貴景勝のほか遠藤ら平幕4人が並ぶ展開となった。

 「勝ちたい気持ちが強かったです」。立ち合いで北勝富士の強烈な右喉輪に屈さず、右でさがりをつかんだ朝乃山が迷うことなく前へ出た。一度も止まらず勝負を決めて2敗を死守。「これは自分の持ち味。前に出ることだけ意識しました。さがりをつかんだからには絶対離さない気持ちで、それで前に出られた」。原因不明で急死した恩師にささげる特別な白星に支度部屋では目頭を熱くした。

 18日午前1時ごろ、近大相撲部OBでつくる無料通信アプリLINEのグループに訃報が流れた。「ショックです。頭が真っ白になりました」。偶然、起きていた朝乃山は都内の病院へ急行。「あまりに突然すぎて涙とかはなかった」。病室で帰らぬ人となった師に花を供え「(3年前に他界した母校・富山商の相撲部監督)浦山先生と一緒に天国から応援よろしくお願いします」と声をかけた。

 大関昇進の可能性を残す今場所。3連勝したが4日目から2連敗。5日目の夜、伊東監督からLINEで連絡が来た。「おまえは切り替えるのがうまい。切り替えてチャレンジ精神でいきなさい」。流れを変える白星をつかんだが、これが恩師の最後の言葉だった。

 悲しみの中、しっかり切り替えた。「(監督のことを)考えすぎると硬くなる。監督のことからいったん離れて前へ前へ攻めてぶち当たる気持ちでいきました」。得意の右差しは封じられたがいつもより前へ出る気持ちは天国に伝わったはずだ。

 「(高校と大学の)恩師2人が旅立ったので、上の番付を目指して天国に恩返しするしかない」。また一つ、負けられない理由ができた男の前進を誰も止めることはできない。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)堂々とした相撲。押し相撲の相手にこれだけ前に出ていけるのは、自信があるということ。連敗はしていたけど、勝つとまた気持ちも変わってくる。

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