【箱根駅伝】東海大連覇ならず 館沢主将「意地を見せたかった」故障乗り越えて魂の区間新

[ 2020年1月3日 14:37 ]

第96回東京箱根間往復大学駅伝・復路 ( 2020年1月3日    神奈川・箱根町~東京・大手町、109・6キロ )

<箱根駅伝復路>小田原中継所で6区の館沢享次(左)からたすきを受け取る7区の東海大・松崎咲人(撮影・島崎忠彦)
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 前回大会王者の東海大は復路を5時間23分47秒の新記録で制したものの、総合10時間48分25秒で2位となり、連覇はならなかった。総合も新記録だったが、青学大に3分2秒差をつけられた。

 黄金世代と呼ばれた4年が4人駆けた復路。意地を見せたのは、山下りの6区(20・8キロ)に当日変更で投入された館沢亨次主将(4年)だ。「下りが得意な選手に真っ向勝負してもかなわない。得意な上りとラストの平坦で勝負しようと思った」。プラン通りの激走で、従来の記録を40秒も上回る57分17秒の区間新をマーク。青学大との差を1人で1分1秒詰めて、追撃態勢を整えた。

 1500メートルで17、18年の日本選手権を連覇したスピードランナー。「丈夫なだけが取り柄」と言う22歳は今季、想定外のシーズンを送った。4月から右大腿裏と恥骨に異変を感じ、8月には右大腿裏の筋肉に傷が入り、恥骨結合炎を発症していることが判明。大腿はドクターから「下手をすると全治2年くらいの大ケガになる」と言われたほどの状態だった。

 主将の大役を任されながら昨夏の合宿にも参加できず。実戦復帰は昨年11月の世田谷ハーフだった。1キロ4分弱のスローペースで走ってから約2カ月、最もスピードが出る6区に全てを注ぎ込んだ。「ここまでチームに迷惑しかかけていなかった。主将として意地を見せたかった」。苦しかった道のりに思いをはせ、充実の汗をぬぐった。

 昨年8区区間新でMVPに輝いた小松陽平(4年)が同じ区間で青学大との差を1秒しか縮められず、連覇には届かなかった。大手町でゴールを待った館沢主将は、アンカーの郡司陽大(4年)の肩を優しく支えた。

 来年は往路を走った3年の3人を中心にチームを作る。「自分たちの世代よりも強い3人。今年、悔しい思いをしたからこそ、彼らは強くなる。この結果を糧に頑張って欲しい」。地獄の底から復活し、大一番で結果を出した姿を後輩たちは見ている。箱根王者を奪回し、常勝チームへ。黄金の夢は、次世代に託された。

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