浜田、女子78キロ級で銀メダル “天敵”マロンガにまた苦杯

[ 2019年8月31日 05:30 ]

柔道世界選手権 第6日 ( 2019年8月30日    東京・日本武道館 )

女子78キロ級決勝戦、大外返しで一本を奪われる浜田(右)(撮影・会津 智海)
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 2連覇を目指した女子78キロ級の浜田尚里(28=自衛隊)は、決勝でマドレーヌ・マロンガ(フランス)に敗れて銀メダルだった。得意の寝技を軸に4試合を勝ち抜いたが、最後は1勝2敗と分が悪い相手の力に屈した。男子100キロ級のウルフ・アロン(23=了徳寺大職)は準々決勝で昨年王者の趙グハム(韓国)に敗れたものの、3位決定戦に勝って2大会ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した。

 果敢な勝負手だったのか、あるいは蛮勇か。技ありを奪われて迎えた2分20秒すぎ、浜田が自身よりも10センチ以上長身のマロンガに、強引な大外刈りを仕掛けた。だが、まだ余力十分の相手に同じ技を返され、両膝が折れるように背中から畳に落ちた。同時に前年女王を示す赤ゼッケンを失った。

 すぐに冷静さを取り戻した浜田だが、そのシーンを振り返る前に10秒間黙考。「焦り…早い段階で取り返したいという気持ちだった」と話す表情は曇った。女子日本代表の増地克之監督は「大外刈りは強引だったと思う。まだ十分に時間があった。気持ちの部分で焦りがあったのでは」。技ありを奪われた直後、肘を固めるチャンスを逃した。過去の対戦成績は1勝2敗。相性が悪い相手に、自分の土俵で戦えなかったのが敗因だった。

 柔道と並行してロシア生まれの格闘技サンボも学んで関節技を習得。17年に出た国際大会4大会は、15戦全てが寝技で一本勝ちだったという“寝技師”だ。だが昨年の世界一後は国際大会4大会連続で優勝を逃すなど、一芸頼みに限界が来ていることは明らかだった。課題克服に取り組み、3回戦は大内刈りで一本を奪うなど一定の成果は出した。だが世界トップを相手にするには、スキル不足は明らか。「どちらかでは勝てない。両方やっていきたい」と今後のさらなる進化を自らに課した。

 ここまで女子日本勢の金メダルは52キロ級の阿部詩1人。頂点を逃した残り5人の多くが号泣してきた中で、すぐに気持ちを切り替え笑みさえ浮かべた精神力は武器になる。「来年も日本武道館に戻ってきたい」。その視線はすでに前に向けられていた。 


 ◆浜浜田 尚里(はまだ・しょうり)1990年(平2)9月25日生まれ、鹿児島県出身の28歳。10歳で柔道を始め、国分南中―鹿児島南高―山梨学院大を経て13年4月に自衛隊入り。柔道と並行して行っていたサンボでは14年世界選手権80キロ級で優勝。柔道では17年12月のグランドスラム(GS)東京大会でGS初優勝、昨年の世界選手権で初出場初優勝。1メートル67。右組み。得意技は寝技。

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2019年8月31日のニュース