丸山 準決死闘一二三を撃破!金獲得で五輪代表争いリード

[ 2019年8月27日 05:30 ]

柔道世界選手権第2日 ( 2019年8月26日    東京・日本武道館 )

<世界柔道選手権>男子66キロ級、丸山(手前)が韓国の選手に一本勝ちして金メダル(撮影・篠原岳夫)
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 男子66キロ級は丸山城志郎(26=ミキハウス)が初出場初優勝を飾った。準決勝では2連覇中の阿部一二三(22=日体大)を直接対決で破る価値ある初戴冠。これで通算対戦成績を4勝2敗とし、20年東京五輪の代表選考でも年下のライバルからリードを奪った。女子52キロ級では準決勝で16年リオデジャネイロ五輪女王のケルメンディ(コソボ)を撃破した阿部詩(19=日体大)が2連覇を達成した。

普段は静かな男の感情がほとばしった。韓国選手との決勝は得意の内股で技あり2本を奪い決着。「26年生きてきて世界一になるのは遅かったが、いろんな感情が出た」。体全体で喜びを表現したが、表情だけは熱いもので崩れそうだった。

 阿部との対戦は開始早々に右手の指をつり、背負い投げをかわした際には右膝を痛めるアクシデント。「おそらく内側(じん帯)。でもケガしたからとか関係ない。勝ってなんぼ」と心は折れなかった。先に指導2で追い込まれたが、組み手争いで主導権を引き寄せると延長3分46秒、左釣り手で背中をとらえたチャンスを逃さず、巴投げから隅返しへの連絡技で技あり。この1年で阿部には3連勝と数字でも序列を証明した。

 リオ五輪金メダリストで天理大の先輩でもある73キロ級の大野将平(旭化成)は、丸山を「天才だなと思う」と称賛する。凡人には想像もつかないひらめきで技に入り、相手が防御する時間を与えない切れ味。特に内股は本人も「背中から叩き付けるのが特徴。投げて気持ちいい技」と言う。自信を裏打ちするのが少年時代の鍛錬だ。

 父・顕志氏は92年バルセロナ五輪65キロ級代表。実家のある宮崎では父が開いた道場で稽古に明け暮れた。全体練習が午後9時に終わると、兄で81キロ級の剛毅(パーク24)とともに1時間、2時間の居残り練習は当たり前。「今の時代では引っかかるようなことばかり(笑い)。小学校時代の練習が一番きつかった」と振り返るほどハードな毎日だった。

 道場近くを流れる大淀川の堤防には、真夏でも草の生えない一筋の道があった。通称「丸山ロード」。毎日の稽古前に計50往復、ダッシュを繰り返した努力の跡だ。「五輪での金メダルが最大の目標。この勝ちは本当に大きい」。その道は遠回りだったが、東京五輪へつながろうとしている。 

 ◆丸山 城志郎(まるやま・じょうしろう)1993年(平5)8月11日生まれ、宮崎市出身の26歳。父は92年バルセロナ五輪65キロ級代表の顕志氏で、5歳から柔道を始める。天理大2年だった13年に講道館杯初制覇。昨年11月のGS大阪大会、今年4月の選抜体重別選手権では阿部一二三との直接対決に勝利。ミキハウス所属。1メートル66。左組み。得意技は内股。

 ▽柔道の東京五輪への道 選考は3段階方式。今回の世界選手権優勝者が11月のグランドスラム(GS)大阪大会を制し、全日本柔道連盟の強化委員会で出席者の3分の2以上が賛成すれば決定。第2段階は12月のマスターズ大会(中国)と来年2月のGS2大会を終えた時点で、強化委の3分の2以上が1、2番手の差が歴然と判断すれば選ばれる。最終選考会は4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で代表が決まる。

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