北海道マラソン女子 和久、小出さんに手向けの初優勝

[ 2019年8月26日 05:30 ]

満面の笑みでゴールする和久
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 北海道マラソンが25日、札幌・大通公園発着の42・195キロで行われ、第33回大会を男子は松本稜(28=トヨタ自動車)、女子は和久夢来(みらい、24)が制した。和久は所属先のユニバーサルエンターテインメントの前監督で、今年4月24日に80歳で亡くなった小出義雄氏に2度目のマラソンで優勝を手向けた。フルマラソンには登録選手、市民ランナーを合わせて1万5932人が出走した。

 往復13キロもの直線が続く新川通に別れを告げ、北大キャンパスに近づく35キロすぎ。和久は決めていたポイントでペースを上げた。「前半は前に出ず楽をした。タイムより、勝ちにこだわったレースがしたかった」。後続を振り切り、大通は独走だ。左手の指で「No・1」をつくり、最後は両手を上げてゴールテープに飛び込んだ。

 27位だった3月の初マラソン、名古屋ウィメンズから一気の飛躍。「次こそは」と自分を追い込んできた。雨と晴れ間が繰り返す気まぐれなコンディションにも耐えての優勝。拠点の千葉に戻る前の“ご褒美”はすぐに頭に浮かんだ。「ソフトクリームが大好きなので絶対、白い恋人ソフトを食べて帰りたいです」と笑った。

 笑顔になる前、しみじみと話す和久がいた。「本当は監督がそばで見てくださっているうちに、優勝を見せたかった。力不足で、かなえることができなかった」。全国で目立った成績のなかった栃木・那須拓陽から14年にユニバーサルエンターテインメントに入り、小出氏の指導を仰いで駅伝などで力をつけた。体調不安を抱えていた長距離界の名伯楽が3月末で勇退、それから1カ月もたたず肺炎で亡くなる前の最後のレースが、悔しい名古屋ウィメンズだった。

 「北海道マラソンに懸けてきた。天国で見守ってくれている監督にも、届いたんじゃないかと思います」

 名前は夢が来る、と書いて「みらい」。マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権はないが「まだ東京五輪に出場できる可能性はゼロではない(※)ので、視野に入れて次の目標を明確にしたい」と話す。「いつかは日の丸を背負ってマラソンでメダルを獲りたい」。初優勝が未来への扉を開いた。

 (※)東京五輪代表は9月15日のMGCの1、2位がまず選ばれる。3人目は、冬のMGCファイナルチャレンジ3レースで設定記録(女子は2時間22分22秒)を切った最上位者か、いない場合はMGC3位が選ばれる。

 ≪男子は松本初V≫男子は招待選手が4位以下に終わる中、松本が4度目のマラソンで初優勝。30キロからスパートしたギザエ(スズキ浜松AC)を見ながら「追いつける範囲で、自分のタイミングで飛び出した」といい、35キロすぎに逆転した。自己ベストを2分34秒も更新する会心のレースで「自信になりました」とにんまり。所属先のトヨタ自動車では服部勇馬ら4人がMGCに向けて準備しており「MGCのメンバーといい練習ができた」と感謝した。

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