桃田 世界一連覇!全戦ストレート勝ちも五輪へ慢心なし

[ 2019年8月26日 05:30 ]

バドミントン 世界選手権最終日 ( 2019年8月25日    スイス・バーゼル )

世界バドミントン男子シングルス決勝 デンマーク選手を破り優勝した桃田
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 各種目の決勝が行われ、男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(24=NTT東日本)が、同9位のアンデルス・アントンセン(デンマーク)を2―0(21―9、21―3)で圧倒し、全種目を通じ日本勢初となる大会連覇を達成した。全6試合ストレートの完全制圧。来年の東京五輪の金メダルへ大きく期待が膨らんだ。女子ダブルスでも同1位の永原和可那(23)、松本麻佑(24)組(北都銀行)が桃田と並び日本勢初のV2を果たした。

 強すぎる。第2ゲーム、桃田は倒れ込みながらのレシーブでフィニッシュ。うつぶせのまま両拳を握り、何度もコートを叩いて喜びを爆発させた。わずか37分。ラリー戦で主導権を握り、時には大胆に勝負に出る。圧勝だった。「素直にうれしい。向かってくる相手に全てストレートで勝てたのは自分にとって重みが違う」。金メダルを手にし、安どの表情を浮かべた。

 各国の選手たちが徹底的に包囲網を敷く中で、全6戦ストレートで頂点まで駆け抜けた。今大会は五輪連覇の林丹(中国)やギンティング(インドネシア)ら、ライバルたちがバタバタと姿を消す波乱が続いた。有言実行の連覇へ、決勝前夜は緊張であまり眠れなかった。それでも、フタを開けてみればトップランカーの完全制圧。「守ってばかりでは勝てない」。積極的に攻め、一気に決めた。

 もう吹っ切れた。17年5月に違法賭博問題の謹慎処分から復帰。改心しても過去は消えない。試合会場では常に視線を感じた。試合中、シャトルを交換に向かうだけでも気を使った。「疲れた…」。一挙手一投足を厳しい目で見られ、自宅に帰ってつぶやく日々。「どうしたら怒られないか。試合に貪欲になれなかった。ぶつかり合うことから逃げていた」と振り返る。

 昨年、世界ランク1位となり、大会ごとに格下が金星を狙いにくる。弱気な自分を奮い立たせるため、桃田は過去の映像を見つめた。15年のインドネシア・オープンや同年ツアーファイナルズ。攻めの姿勢で、優勝した姿がそこにはあった。「(昔は)フルスイングしていた。思い切りも必要だな」。攻める姿こそ桃田の真骨頂だ。

 07年から五輪前年の世界選手権王者は五輪3大会連続で金メダルに輝いている。それでも、桃田は「このスタイルでは勝てない。その時のために、一から準備したい」と言った。求道者の風格を漂わす男にとっては2連覇も通過点。まだまだ想像の先を行く。

 ◆桃田 賢斗(ももた・けんと)1994年(平6)9月1日生まれ、香川県三豊市出身の24歳。7歳で競技を始め、富岡一中、富岡高を経て、13年にNTT東日本入社。高校3年時に世界ジュニア選手権優勝。15年に日本人初のスーパーシリーズファイナルズ制覇。18、19年アジア選手権連覇、19年全英オープン優勝。1メートル75、72キロ。左利き。血液型A。

 ▽バドミントン東京五輪への道 出場数はシングルス各38人、ダブルスの各16組32人だが、1カ国・地域の上限は各2枠。2枠を確保するにはシングルス上位16位に2人以上、ダブルス上位8位に2組以上が条件となる。4月29日から20年4月26日の選考レースを経て、20年4月28日発表の世界ランクで決まる。世界選手権や世界ツアーなどの成績を基に加算されたポイントで争う。世界選手権は五輪と並んで最も高い格付けで重要度が高い。

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