丸山 死闘連覇「一二三ポスター」に燃えた!今大会最長13分23秒

[ 2019年4月8日 05:30 ]

柔道 全日本選抜体重別選手権最終日 ( 2019年4月7日    福岡国際センター )

男子66キロ級で13分を超える死闘の末に阿部を破り2連覇、雄叫びを上げる丸山(撮影・中村 達也)
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 男女計7階級が行われ、男子66キロ級決勝は丸山城志郎(25=ミキハウス)が阿部一二三(21=日体大)との13分23秒にも及ぶ死闘を制し、2連覇を達成した。試合後に行われた全日本柔道連盟の強化委員会では、世界選手権(8月25日開幕、東京・日本武道館)代表に、2連覇中の阿部とともに初選出。20年東京五輪の選考レースでも、同級で独走状態だった世界王者を射程圏内に捉えた。

 今大会最長となる13分23秒の死闘。勝敗を分けた要因を、丸山は「意地と意地のぶつかり合いで、気持ちの面は上だと皆さんに見てもらえたと思う」と表現した。指導2と後がない状況で攻め続け、最後は昨年11月23日のグランドスラム(GS)大阪大会決勝と同じ巴投げで技あり。わずかに残る精根を振り絞り、全身でガッツポーズを繰り出した。

 練習拠点を置く母校・天理大では、大野将平の練習パートナーでもある。広い道場の奥の角が2人が研さんを積む空間。そのリオ五輪王者をして「きれいに投げやがる」天理大時代の恩師、穴井隆将監督も「おまえの柔道は日本刀」と称える技の切れが持ち味。年明けからは肉体改造にも着手し、力強さも増したことが、4大会連続優勝の原動力だ。

 普段は物静かな青年。だが内なる闘志に火を付ける出来事があった。昨年11月、全柔連はポスターなどに使用される世界選手権のメインビジュアルを発表。嘉納治五郎師範や谷亮子氏ら9人の柔道家が並ぶ中に、阿部の姿があった。「そういう(悔しい)思いがないわけではない。人間ですから」。昨年10月には結婚。支えてくれる人、守るべき人ができたことも「強い思いでひたすら技に入った」という根性を引き出した。

 世界代表には阿部も選出されたものの、男子日本代表の井上監督は、丸山の名前を先に読み上げた。形勢逆転。少なくとも並走状態に入ったが、「最終目標は五輪優勝。それまでは過程なので」と気持ちはぶれない。最強のライバルではなく、473日後の夢舞台だけを見つめて前へ進む。

 ◆丸山 城志郎(まるやま・じょうしろう)1993年(平5)8月11日生まれ、宮崎市出身の25歳。父は92年バルセロナ五輪65キロ級代表の顕志氏で、5歳から柔道を始める。天理大2年だった13年に講道館杯初制覇。昨年11月のGS大阪大会から4大会連続で優勝。所属はミキハウス。1メートル66。左組み。得意技は内股。

 《1回戦で負傷も阿部言い訳なし》阿部は開始早々に技ありを奪った1回戦で、十字固めに入られた際に左脇腹を負傷。優勢勝ちで逃げ切ったが、控室に戻る途中で苦悶(くもん)の表情を浮かべた。2回戦からは患部に大きなテーピングをして畳に上がったものの、普段の力強さは鳴りを潜めた。それでも敗戦後は「(脇腹は)大丈夫。あと一歩、押し切れなかった」と言い訳はなし。昨夏の世界選手権後は3大会連続V逸と苦境だが、「今は踏ん張り時。いかに乗り越えるか」と覚悟を示した。

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