“逆転の美寿々”本領発揮のV「本当にあり得ないことが起きた」

[ 2019年4月8日 05:30 ]

女子ゴルフツアー ヤマハ・レディース葛城・最終日 ( 2019年4月7日    静岡県袋井市 葛城GC山名C=6564ヤード、パー72 )

18番、バーディーを決めガッツポーズを見せる成田美寿々(撮影・西尾 大助)
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 “逆転の美寿々”の本領発揮だ。4打差の3位から出た成田美寿々(26=オンワードホールディングス)が67で回り、通算5アンダーで今季初V、昨年の富士通レディース以来の通算12勝目を挙げた。首位タイで迎えた最終18番でバーディーを決め、昨年の賞金女王のアン・ソンジュ(31=韓国)に競り勝った。開幕から日本勢が5連勝したのは11連勝した2005年以来、14年ぶり。新垣比菜(20=ダイキン工業)が3位に入った。

 2メートルのウイニングパットを流し込むようにカップに沈めた成田は、思い切り拳を突き上げた。「本当にあり得ないことが起きたな、というのが一番の感想です。苦手なコースなのに、こういうゴルフを4日間通し優勝することができたので自信になります」

 絵に描いたような逆転劇だった。1番で1・5メートルのチャンスを沈め勢いに乗ると「ショットの調子が良かったのでピンチもあまりなかった」と12番で3メートルを沈め、ついにトップのアン・ソンジュを捉える。そして首位タイで迎えた18番パー5。フェアウエーから、残り233ヤードの第2打を5Wで10メートルに2オン。今季は3パットも多くグリーン上で不振だったが、簡単でない距離を「2パット星人、2パット星人!!頼む!!」と心の中で唱えながら、2メートルまで寄せ今季初Vを手繰り寄せた。

 オフの地道なトレーニングが実を結んだ。シーズン開幕前にトレーナーとコーチを帯同し米国と宮崎で合宿を行った。そこで筋力トレーニングとスイングスピードのアップに励み、父・俊弘さん(64=自営業)によれば速さが以前より2メートル増し、秒速44・5メートルまで上がったという。「ドライバーもアイアンも飛距離が5ヤード伸びた」と成田。平均250ヤードを超えるその飛距離が、土壇場での逆転ドラマを演出した。

 今年から遠征先に「鍋セット」を宅配便で送り、試合中はホテルの部屋で両親がつくる鍋料理を食べ体調を整えている。「鍋はなんでもバランスよく食べられますから。それに外に食べに行く所を探さなくていいので気持ちも落ち着くようです」と俊弘さん。家族の支えでコンディションも良好だ。これで目標の20年東京五輪にも一歩前進した。「(この優勝で)また違った成田美寿々が生まれたかなと思います。五輪で金メダルを獲るぞとか言っているのに、出られないのはダサい。そのためには今年5勝しないといけない」。有言実行で世界が注目する大舞台を目指す。


 《成田の逆転V》 通算12勝を挙げ、そのうち8勝が逆転。最も首位と順位が離れていたのは18年サントリー・レディース。その時は4打差の10位から出て66をマークし通算16アンダーで有村智恵と並びプレーオフを制した。4日間競技の優勝は6回あり3度が逆転。


 《東京五輪・日本代表 来年6月末時点の上位2人》
 成田が五輪代表になるためには、来年6月末時点での世界ランクに基づいた五輪ランクで日本人上位2人に入る必要がある。前週時点では畑岡奈紗、鈴木愛、比嘉真美子、上田桃子、小祝さくらが成田より上位。「上の人が勝っていたので焦りがありました」。しかし、この優勝で順位が上がるのは確実。さらに全米女子オープン(5月)にも出場予定で、そこで結果を出せば一気に躍進する可能性もある。

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