紀平、シニア初年度でGPファイナル制覇!真央さん以来13年ぶりの快挙

[ 2018年12月10日 05:30 ]

フィギュアスケート GPファイナル最終日 ( 2018年12月8日    カナダ・バンクーバー )

表彰式で笑顔を見せる紀平梨花(撮影・小海途 良幹)
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 女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位の紀平梨花(16=関大KFSC)が150・61点をマークし、合計233・12点で初優勝した。大技トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は1本しか決まらなかったが、完成度で平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワ(16=ロシア)を下した。女子の日本勢Vは13年の浅田真央以来、5年ぶりで、シニア初年度の優勝も05年の浅田以来13年ぶり2人目の快挙。22年北京五輪の主役候補へ、一気に躍り出た。

 こんなに絵になる16歳がいるだろうか。紀平が初優勝を果たした表彰式。シニア1年目でたどり着いた表彰台の頂点に左足から飛び乗ろうとしたが、なかなか上がれない。隣のザギトワが手を差し伸べ、ゆっくり頂上にたどり着くと、苦笑いで手を振った。「本当に優勝できてうれしい」。無邪気なキャラクターに、会場から温かい笑いが起きた。

 ひとたびリンクに上がれば、戦う顔になる。フリー冒頭はトリプルアクセルで失敗。2回転半となったが、緊張は解けた。2回目の大技に2回転トーループを付けて完璧に決め、ルッツ―トーループの連続3回転も文句なし。NHK杯の自己最高点には届かなかったが、「ミスがあっても切り替えられた。演技が終わった時は凄くうれしさが出た」と笑った。フリー曲は地球の誕生を連想させる「ビューティフル・ストーム」。紀平が見せた力強いジャンプが、新時代を告げる美しい嵐となった。

 直近4年のファイナルはロシア勢が女王を独占してきた。昨年はザギトワがブレークし、平昌五輪金メダルを獲得。その大舞台で、トリプルアクセルを突破口に勢力図を塗り替えた。「自分の実力を点数に表せてうれしい。ザギトワ選手も自分の中でいい点数じゃなかったと思う。もっといい演技をしてくると思うので、どんな緊張感でもSP、フリーをそろえることが大事」。ジュニア時代から通算2勝1敗としたライバルとの、次の対戦を見据えた。

 因縁の地で、日本女子の歴史をつなげた。10年バンクーバー五輪、紀平が憧れる浅田真央がいた。代名詞であるトリプルアクセルをSP、フリーで計3度成功させながら銀メダル。この優勝で、少しだけ、憧れの存在と肩を並べた。「アクセルという大技を選択しない方法もあったけど、今はやり続けてきてよかった」。高難度の武器にこだわる姿勢も、その系譜だ。

 目標は当然、22年北京五輪。「北京五輪で優勝という夢がある。モチベーションは凄くいい状態。それまで安定した成績が残せるように、と思います」。かつて浅田に手紙とぬいぐるみを投げ入れた少女は、時を経て、次世代を担う世界一のアクセルジャンパーへと成長した。

 ▽紀平 梨花(きひら・りか) ☆生まれとサイズ 2002年(平14)7月21日生まれ、兵庫県西宮市出身の16歳。1メートル54。

 ☆競技歴 5歳の時に姉と一緒にスケート教室に参加したのがきっかけ。平昌五輪4位・宮原知子と同じ浜田美栄、田村岳斗コーチに師事する。

 ☆通信制高校 インターネットを活用した通信制のN高校に籍を置く1年生。ネット通信で授業を受け、決められた日数を大阪校舎に通う。

 ☆世界初の大技 16年ジュニアGPスロベニア大会フリーで全6種類、8つの3回転ジャンプに成功。昨年12月のジュニアGPファイナルでは、トリプルアクセル―3回転トーループの連続ジャンプを決めた。ともに国際スケート連盟(ISU)公認大会では女子初。

 ☆ホープ 平昌五輪はISUが定めた年齢制限のため出場資格がなかったものの、昨年12月の全日本選手権ではジュニアながら3位に。

 【浅田の05〜06年シーズン】 シニアの国際大会初出場となったGPシリーズ中国杯で2位、05年11月のフランス杯ではフリーでトリプルアクセルを決めて優勝。史上2番目の若さ(当時)となる15歳2カ月でGPシリーズ制覇を果たした。12月のGPファイナル(東京)でもSP首位、フリーでトリプルアクセルを決めて初出場初優勝。しかし、国際スケート連盟の年齢制限で、翌年2月のトリノ五輪参加はできなかった。

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