19歳・谷川翔が初日本一「夢のよう」内村のV11阻止

[ 2018年4月30日 05:30 ]

体操・全日本選手権 ( 2018年4月29日    東京体育館 )

跳馬で華麗な演技を見せた谷川翔はガッツポーズを見せる
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 19歳が新時代の到来を告げた。男子個人総合決勝で、谷川翔(かける、19=順大)が予選との合計を172・496点とし、初優勝を飾った。19歳2カ月の戴冠は史上最年少で、体操ニッポンのエースに名乗りを上げた。白井健三(21=日体大)が172・164点で2位、11連覇を狙った内村航平(29=リンガーハット)は171・664点の3位。女子は村上茉愛(21=日体大)が112・398点で3連覇を飾った。

 日本の頂に立った19歳は、自らに降り注ぐ大歓声も、表彰台からの景色も信じられなかった。「実感がない。夢のよう。でも、1位なのでうれしい」。内村の連覇を10で止め、昨年の世界選手権銅メダルの白井も超えた。「内村さんに勝ったのはビックリ。健三くんは完璧にやってきて、それを上回ることができてうれしい」。史上最年少での戴冠で、体操ニッポンに新時代の到来を告げた。

 予選トップの白井と0・068点差で迎えた決勝。難度を示すDスコアでは白井に及ばないが、出来栄えを示すEスコアで白井を2・2点も凌駕(りょうが)した。大きなミスなくまとめ、平行棒を除く5種目で予選を上回る得点をマーク。内村が「正しい体操」と称えていたことを聞いた19歳は、「丁寧な体操をやってきて、それが評価されている」と胸を張った。

 幼少時は兄・航(わたる)とともに、アクション映画俳優のショー・コスギが塾長の「ショー・コスギ塾」に通い、アクションやダンスで汗を流した。小学1年で本格的に体操を始め、テレビ番組でランドセルを背負ってバック転を披露したこともある。ずっと目標だった航は昨年の世界選手権に出場。翔は腰痛で苦しいシーズンを送ったが「俺も代表に入ってやる」と闘志に火が付き、飛躍につなげた。

 「空、翔(かけ)る」という意味を込め、両親は「翔」と名付けた。全日本の得点を持ち越す5月のNHK杯で2位以内に入れば、初の世界選手権(10〜11月、ドーハ)の代表に決まる。「日本一になったからには自覚を持って、世界一を目指してやっていきたい。これで満足しないで、東京五輪、その次へ頑張っていきたい」。黄金の輝きを求め、19歳が美しく飛翔する。

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2018年4月30日のニュース