米国で人気沸騰の犬は「チェシー」 火をつけたのは?男子バスケの話題校

[ 2018年3月21日 10:00 ]

全米で人気急上昇の「チェシー」(AP)
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 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】1877年に始まった米国の「ウエストミンスター・ケネルクラブ・ドッグショー」では、現在に至るまで大型犬のレトリバーが優勝したことがないそうだ。ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーは日本でも人気があるようだが、いざ格式高いコンテストとなると、そのおっとりとした性格が災いして?賞を逃してしまうのかもしれない。

 さて米国のブリーダーが今、注目している犬種がある。それが受賞歴ゼロのレトリバー系で、通称はチェシー。正確に名前を表記すると「チェサピーク・ベイ・レトリバー」で、その名前の湾がある米メリーランド州の“州犬”でもある。

 RETRIEVEは「回収する」という意味。つまり狩猟で仕留めた獲物を主人の元に持ってくる犬だったのでこう呼ばれるようになった。

 そのメリーランド州から、男子バスケットボールの全米大学選手権(NCAAトーナメント=参加68校)にUMBCというチームが進出した。大学名の略語をひもとくと、メリーランド大ボルティモア・カウンティー。NCAAトーナメントでは4つある地区のひとつ南部地区に割り振られたが、最下位シード(第16シード)での初戦だった。

 相手は南部どころか東部、中西部、西部の全地区を併せて全体トップシードのバージニア大。今季は31勝2敗でAP通信のランクでは1位だった。UMBCは25勝10敗。誰がどうみても勝負は明らか…のはずだった。ところが3月16日、UMBCは74―54でこの優勝候補に圧勝してしまった。

 全米騒然。なにしろNCAAトーナメントで地区の第16シードは第1シードに対して過去135戦全敗。歴史上、一度もなかった番狂わせが起こってしまったのだ。

 ラスベガスのブックメーカーはUMBCに20・5点のハンデを与えて勝者予想をしていたほど。しかし、正味40分の試合時間が終わったとき、そんなハンデが不要だったことを多くの人が知るはめになった。

 UMBCのニックネームはレトリバーズ。チームのロゴに記されているマスコットはもちろん「回収犬」である。そして本来、おとなしいはずの大型犬は?ことNCAAトーナメントに限っては牙を向いてアグレッシブな戦いを見せた。18日に行われたカンザス州立大戦で43―50と敗れてスイート16(ベスト16)入りは逃したが、「V率0・7%」という奇跡の数字を残すなど、歴史を書き換えるセンセーショナルな活躍だった。

 というわけでメリーランド州の「顔」となったシンデレラ・チームのおかげで、メリーランド州を代表する犬「チェシー」の人気が急上昇。運気があるという雰囲気の漂う茶系で巻き毛のこのレトリバーに一躍、脚光が集まることになった。

 AP通信の取材を受けた犬の専門家、デビッド・フライ氏は「チェシーはレトリバーの中では最も活発。ゴールデンやラブラドールもいいけれど、こっちを選ぶこともできますよ」と格上の相手を倒せる?ご利益をアピール。UMBCのキャンパスには1966年に初代のマスコットとなった本物のチェシー(名前はTRUE・GRIT)の銅像があるが、幸運を求める生徒たちはその鼻をなでるのがブームになっているとか…。まるで足の裏をなでる大阪のビリケンさんのようになっているが、スポーツ界が及ぼす影響というのは多岐に渡っているようだ。

 ところでそのビリケンさん、実はセントルイス大(ミズーリ州)のマスコット。今年のNCAAトーナメントには出ていないが、来季以降は「BILIKENS」にもご注目を!大阪の方には申し訳ないが年代的に見ると“本家”は米国?もし来年ブレークしたら、同じ格好をした銅像があるセントルイス大のキャンパスを訪れてみてください。(専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市小倉北区出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に7年連続で出場。

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