注射器60本押収 15年世陸金メダルコーチ逮捕

[ 2016年6月23日 05:30 ]

 スペインのバルセロナとマドリードで、スポーツ関係者を対象にした警察当局による一斉摘発が実施され、バルセロナ郊外のホテルでは陸上のコーチ2人が「違法な薬物を投与し、譲渡した」とした容疑で逮捕された。

 このうちの1人は昨年の陸上世界選手権(北京)の女子1500メートルで優勝したゲンゼベ・ディババ(25=エチオピア)を指導しているジャマ・アデン・コーチ(53)で、ソマリア出身の同コーチはバルセロナから25キロ離れたサバデルを拠点にして13年から毎年、合同キャンプを主宰していた。

 警察が20日に踏み込んだのは競技場近くにあるホテルで、同コーチの部屋からは造血作用のあるエリスロポエチン(EPO)を含む違法な薬物を使用した痕跡が確認されている。さらに当局は使用済み注射器を60本押収。このホテルにはディババ本人だけでなく、ソマリア、エチオピア、ジブチ、アルジェリア、サウジアラビア、エジプトの計30選手が滞在しており、捜査終了を待って国際陸連(IAAF)は28選手の薬物検査を実施した。またマドリードでは18人が逮捕されており、これまでロシアとケニアに集中していたIAAFの制裁対象はさらに広がっていく可能性が出てきている。

 ▽EPO 腎臓で作られる造血ホルモン。筋肉への酸素供給量を高め持久力を向上させる目的でドーピングに使用されてきた。使用の有無は血液検査で判明。国際オリンピック委員会(IOC)は02年ソルトレークシティー冬季五輪から尿検査と併せてEPOを対象にした血液検査を実施するようになった。

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2016年6月23日のニュース