初キャップ児玉 チーム最多5トライ!代表ウイング争いに名乗り

[ 2016年5月1日 05:30 ]

<日本代表・韓国代表>前半29分 ダイビングトライを決める児玉(下)

アジア選手権 日本85―0韓国

(4月30日 ニッパツ)
 日本は85―0で韓国を下し、昨年のW杯後初のテストマッチを制した。スーパーラグビー(SR)シーズン中のためにW杯メンバーが不在の中、17人の初キャップ選手の1人、WTB児玉健太郎(24=パナソニック)がチーム最多の5トライを量産。W杯で大ブレークしSRサンウルブズでも活躍するWTB山田章仁(30=同)と同じ経歴を歩む期待のトライゲッターが19年W杯日本大会のウイング争いに名乗りを上げた。

 出色の5トライ。しかし児玉に満足感はなかった。「なかなか5トライは取れるものではないが、まだ取れるシーンがあった。もっと取れたと思う」。それでも苦戦が予想された中、上々のデビュー戦となった。

 最初のトライは前半14分、ターンオーバーからの左展開でフィニッシュを決めた。唯一自賛したのが同29分の2トライ目で、タッチライン際の定位置から反応し、中央を突破したフッカー森にピタリと付き、ゴールライン寸前でパスをもらいトライ。純粋なスピードもさることながら、状況判断の鋭さも長所。守備でも全体を俯瞰(ふかん)できる大外から指示を飛ばして完封に貢献し「いろんなところに顔を出せたし、コミュニケーションの部分は良かった」と話した。

 福岡県北九州市生まれの九州男児。鞘ケ谷ラグビースクール→小倉高→慶大→パナソニックの経歴は山田と全く同じ。チーム所在地の群馬県太田市でルームシェアもしている6歳年上の先輩からは「運も実力のうち。初キャップはどんな形でもいい」と言われて送り出された。W杯のウイング勢は山田に加え藤田、福岡(ともにパナソニック)が7人制のリオ五輪代表候補のため、スコットランドと対戦する6月は不在。他のどのポジションよりも大きなチャンスが待っている。

 2、3月には約40日間、SRハイランダーズ(ニュージーランド)で武者修行し、チームの指揮を執るジェイミー・ジョセフ次期日本代表ヘッドコーチと面談。「ハイボールに強く、外でトライを取りきれる選手」と理想像を聞き出したことで、目標も明確になった。

 代表で第一歩をしるし、次の目標は日本代表の薫田真広ディレクターが「W杯メンバーが中心になる」と話す6月のメンバーに食い込むこと。階段を一段ずつ上がった先に、W杯の大舞台が待っている。(阿部 令)

 ◆児玉 健太郎(こだま・けんたろう)1992年(平4)1月28日、福岡県北九州市生まれの24歳。小1から鞘ケ谷ラグビースクールでラグビーを始め、小倉高では高校日本代表に選出。慶大を経て14年4月にパナソニック入り。トップリーグでは昨年12月5日のNTTコム戦でデビューし、リーグと日本選手権との2冠制覇に貢献した。ポジションはウイング。1メートル83、85キロ。利き足は左。

 ▽19年W杯代表に向けてのウイング争い 15年W杯メンバーでは山田とヘスケスが34歳となっているが、現状では衰え知らずで山田は出場に意欲を示している。27歳で迎える福岡、26歳で迎える藤田は、選手としては最も脂ののる時期。他にも7人制リオ五輪代表候補の松井(同大)、レメキ(ホンダ)も実力は十分。若手では東芝1年目の石井、尾崎、竹山(ともに帝京大)らの名前が挙がる。15年大会ではCTBやFBもできる松島(サントリー)がウイングで全4試合に先発しており、複数のポジションをこなすことが選考で有利に働きそうだ。

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2016年5月1日のニュース