美香 無心のラウンドで初優勝

[ 2010年10月3日 19:17 ]

通算12アンダーで初優勝し、ギャラリーの声援に応える宮里美香

 【日本女子オープン最終日】優勝を確実にしていた18番。パーパットをわずかに外した宮里美は、続くボギーパットをあっさりタップインした。隣にはまだパットを残す上原。万感のウイニングパットを期待した観客も拍子抜けの、あっさりした優勝の瞬間だった。「だからお客さんが『あー』って言ったのか。初めてだから分からなくて」。童顔をほころばせ照れた。

 史上最年少での日本女子アマ制覇など華々しい戦績を引っ提げ、プロ転向と同時に米国へ渡った。厳しい米ツアーでもまれながら、パワーをつけ、技を磨き、攻撃的なスタイルを身に付けた。
 同じ4打差の首位で最終日を迎えた1年前の大会では重圧に屈し、大きくスコアを崩して悔し泣きした。だが、今回は「不思議なほど緊張しなかった」と笑顔で振り返る。「平常心でやろう、と。バーディーを取っても騒がないと決めていた」。同じ轍は踏まなかった。優勝を決定づける13番からの3連続バーディーでも表情は同じ。後続のスコアも見ない。無心のラウンドの締めくくりが、淡泊なウイニングパットだった。
 だが、グリーンわきから走り出た同郷の先輩、宮里藍に抱擁されると感情があふれた。「藍先輩」と声を震わせた。「まさか待ってくれているとは。この大会にかける思いは強かった。本当にうれしい」。プロ初勝利を、日本最高峰の大会で果たす勝負強さが光る。「次は米ツアーで勝ちたい」。飛躍を予感させる完全優勝だった。

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2010年10月3日のニュース