稽古不足に尽きる!頂点極められなかった千代大海

[ 2010年1月13日 11:12 ]

1999年1月の初場所で初優勝し、師匠の九重親方(右)から優勝旗を受ける千代大海=両国国技館

テレビの自分がコロコロ…千代大海「現役引退」決断

 千代大海が最後の綱獲りに挑んだ2004年夏場所のころだった。師匠の九重親方(元横綱千代の富士)は、もどかしそうにつぶやいた。
 「あいつの才能が10としたら、おれは3くらいだぞ。それだけいいものをもっているのに…。もっと一生懸命やれば、結果は違ってくるんだけどな」。千代大海は当時28歳。最も脂が乗った時期にもかかわらず、稽古に打ち込まない弟子を嘆いていた。
 千代大海が頂点を極められなかったのは、稽古不足の一言に尽きる。中学時代は空手、柔道選手として全国レベルの実績を誇り、運動神経は抜群。突き、押しで土俵際まで押し込んだ相手をもうひと腰下ろして腹を押す芸当に、現役時代は突っ張りで鳴らした錣山親方(元関脇寺尾)は「簡単に見えて、あの動きは本当に難しい。おれも何度稽古しても最後までできなかった」と、うなっていた。引き足の速さも天才的だった。
 だが、その素質を磨き切ることはできなかった。師匠の目を逃れて向かった出稽古先で休むこともしばしば。地道な鍛錬と体のケアで今も大関を務める4歳年上の魁皇との差は、ここにある。
 また昨年までの2年間でカド番は4度。今場所は関脇に落ちても土俵に上がり、大関の地位と自らの晩節を汚したことは否めない。横綱3代目若乃花を千秋楽で本割、取り直しにもつれた優勝決定戦で連破し、大関昇進を決めたのが11年前の初場所。当時のような闘志も消えた“ツッパリ大関”が、ついに力尽きた。

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2010年1月13日のニュース