裏事情で延ばされた引退…千代大海の解放された笑みが救い

[ 2010年1月13日 17:43 ]

 あるベテラン幕内力士によれば、千代大海は昨年の初めごろから「おれは大関から落ちたら絶対に引退するよ」と明言していたという。

 昨年九州場所ではそれが現実となったが、師弟はそろって現役続行を宣言。翌場所で10勝しての大関復帰を視野に入れ、「初場所で6敗した時点で引退」と発表した。ケガが積み重なり、力の衰えは明らか。33歳という年齢も考慮すれば、ここが限界だった。
 周囲の予想と反する現役続行には、2月に実施される相撲協会の役員選挙が絡んでいると見る関係者は少なくない。投票権を持つ評議員には親方や立行司のほか、4人以内の日本人の横綱、大関も含まれる。選挙には師匠の九重親方(元横綱千代の富士)も立候補するだけに、千代大海と何度も対戦した若手親方は「本人は絶対に辞めたいはずだが、大関に戻って師匠の票が増える可能性がある限りは辞めさせないんだろう」と指摘した。
 しかし今場所の相撲を見ると、予定の6敗目よりも早く決断せざるを得ないほどの状態だった。史上1位の大関在位65場所を記録しながら、身内の論理で引退を先延ばしにした影響で名大関のイメージが薄れた面は否めない。千代大海が引退会見で「最後に魁皇関と力いっぱい相撲を取れて良かった」と解放されたような笑みを浮かべたことが、せめてもの救いだった。

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2010年1月13日のニュース