魁皇、単独1位の幕内808勝!次は…

[ 2010年1月13日 06:00 ]

千代大海をおくり投げで下し幕内歴代単独トップとなる808勝目を挙げる魁皇

 大相撲初場所3日目は12日、東京・両国国技館で行われ、大関・魁皇(37=友綱部屋)が、通算54回目の対戦となった千代大海(33=九重部屋)を送り投げで下し、千代の富士(元横綱、現九重親方)を抜いて歴代最多の幕内通算808勝目を挙げた。通算勝利数も976に伸ばし、千代の富士が持つ歴代トップの1045勝に続く1000勝の大台も視野に入れた。

【取組結果


 館内を包んだ祝福の拍手にも、表情一つ変えることはなかった。魁皇は立ち合いで千代大海の当たりをがっちり受け止めると、右から突いて相手を後ろ向きにした。そのまま両脇に手を差し込み、自身初となる豪快な送り投げを決めた。
 千代の富士の最多記録を更新する幕内通算808勝目。そんな大偉業にも「(記録のことは)場所中は考えない、考えたくない、考えてる暇はない」と淡々と話した。
 幾度となくしのぎを削ってきた千代大海と実に54回目の対戦だった。「それだけ長くやってきたんだね」。さすがに感慨深げだったが、土俵上では、初日から連敗し苦しい立場の相手に情けを見せることはなかった。「そういうことはあまり考えなかった。相手も思い切って、こっちも思い切って取るのが一番」。それでも土俵に裏返しになった相手が立ち上がるのを待って腰にそっと左手を回す気遣いを見せた。
 この勝利で通算976勝。千代の富士以来の通算1000勝まであと24勝。1場所8勝ペースなら名古屋場所中に到達する。また春場所で幕内在位100場所を迎える。師匠の友綱親方(元関脇・魁輝)は「凄いことをしたんだなと実感している。まだまだ辞められないぞ、と声を掛けたい。ラストサムライじゃないけど、見ていて偉いと思う。次は(幕内在位)100場所を目指してほしい」と後押しした。
 この活躍に故郷も大いに盛り上がっている。福岡県はこの日、県栄誉賞を贈ることを発表。初場所終了後に麻生渡知事が表彰状を手渡す方向で検討している。また場所中魁皇が勝つと花火を1発打ち上げている出身地の直方市では、10発の花火を祝砲として打ち上げた。同市は15日に審査委員会を開催し表彰を決める見通し。地元後援会は幕内在位100場所の春場所に間に合うよう化粧まわしを贈る予定。「プレッシャーになるけど、地元が盛り上がってくれるのはうれしい」。2月上旬にも凱旋帰郷する予定の魁皇は相好を崩した。
 「場所は始まったばかり」。魁皇は自らを律するように口を開いた。37歳の大ベテランは、これからも実直に土俵を務めていく。

 ≪九重親方も称賛≫魁皇の大偉業に親方衆も賛辞を惜しまなかった。記録を破られた九重親方は、「新記録おめでとう。若い時から基本を鍛えてきたから、ケガをしても復活できる」と称賛。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)も「強いね。体もよく動いている。若い頃の大関に見えるし、まだまだやれる。(新記録は)本人の励みになるだろう。目標を大きく持って頑張ってほしい」と通算1000勝を期待した。

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2010年1月13日のニュース