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森保ジャパン“視覚的”工夫で素早く分析情報共有 本番まで隠した“秘策”セットプレー

[ 2022年12月10日 04:00 ]

クロアチア戦でCKからのセットプレーで先制点を決めた前田(AP)
Photo By AP

 【検証 森保ジャパン(4)テクニカルスタッフ】ドイツ、スペインを逆転して挙げた金星。相手国の分析、チームへのフィードバックを担当するテクニカルスタッフが果たした役割も大きかった。

 スペイン戦の同点ゴールは、相手DFとGKに連動してプレスをかけてミスを誘ったプレーが起点。GKとDFがプレッシャーの中でもパスをつなぐことを把握していたからこそ生まれた得点だ。

 森保ジャパンのテクニカルスタッフは4人。当初3人だったが、6月の親善試合4試合から1人増員された。試合会場に足を運んで視察するほか、さまざまな媒体を通じて入手した映像をチェック。相手国の攻撃、守備、セットプレー、チームの全体像を伝える映像や、選手個人の特徴をまとめたビデオを作成する。対戦相手が26人いたら26人分を用意した。

 9月のドイツ遠征からは、パワーポイントやアニメーションを多く取り入れて視覚的にイメージが残りやすいように工夫も加えた。ミーティングで使用する映像は1回10~15分間だが、制作時間は数十時間に及ぶという。

 中下征樹テクニカルスタッフは「情報を選手に落とし込み、チームで素早く共有するために可視化するのは重要なポイント。手間、時間がかかる作業だけど、大事な仕事です」と話す。

 セットプレーに関しては専門スタッフがいる。1月に着任した菅原大介セットプレーコーチだ。多い時には1日8時間も映像を見て相手国のセットプレーの傾向を分析して対策をチームに伝授。攻撃のセットプレーのパターンも考案する。

 クロアチア戦の先制ゴールはCKから細かくつないで最後に前田が決めた。W杯本番まで隠していた“秘策”が結果につながった。

 収穫ばかりではない。クロアチア戦はPK戦で敗れた。「PKは運」と片付けることもできるが、勝つ確率を上げるために投資しているチームもある。イングランド1部リバプールはPKを蹴る前の選手の脳波を測定し、どういう状態で蹴れば成功率が高くなるか研究しているという。8強以上に勝ち進むためにはPK戦にも周到に準備しておく必要がある。カタール大会で突きつけられた課題といえるだろう。(特別取材班)

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2022年12月10日のニュース