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浦和今季限り宇賀神 埼スタ“惜別ゴール”の裏で出場辞退も考えていた…脳裏に浮かんだのはサポーターの姿

[ 2021年12月12日 20:52 ]

<天皇杯準決勝 浦和・C大阪>前半29分、ゴールを決め喜ぶ浦和・宇賀神(撮影・西海健太郎)
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 浦和は天皇杯準決勝でC大阪を2―0で破り、優勝した18年以来、3季ぶりの決勝進出を決めた。今季限りで契約満了に伴う退団が決まっているDF宇賀神友弥(33)が先制点を奪取。“最後の埼スタ”でヒーローとなったサイドバックが、試合後に出場辞退も考えたという試合に至るまでの葛藤を明かした。

 「正直なところ、(4日のJ1)名古屋戦で自分のピッチの上での役割は終わったんじゃないかなという気持ちがあった。ただ、今週練習していく中で自分がスタメンで出ることがあるんじゃないかとなったときに、気持ちを切り替えるのが少し難しい時間が何日かあって、監督に話をしにいこうかなと考えた日もあった。このトーナメントを勝ち抜く経験は、来年以降、浦和に残る選手にとって非常に貴重。ここをしっかりとつかみ取ることで、選手としてはかりきれないほど貴重な経験ができると僕は思うので、“僕じゃないんじゃないんですか”と話をしにいこうと悩んだ日もありました」

 そんな時に、脳裏に浮かんできたのはサポーターの姿だったという。

 「浦和レッズの人間として支えてくれるサポーターに、自分を見てもらう、自分を覚えていてもらうチャンスがあるのであれば、一度自分の役割は終わりだと思ってしまった気持ちを奮い立たせて埼スタのピッチに立つことが、自分がプロサッカー選手として、浦和レッズの人間としてやれる最大のパフォーマンスなんじゃないかなと思ってピッチに立った。そしてピッチに立つときに、言い方が悪くなってしまうんですけど、“自分を契約満了にしたという決断をした人たちをこのピッチで見返してやるんだぞ”と、“あなたたちは間違っていたんだぞ”ということを証明してやるという強い気持ちを持ってピッチに立った。何でそういうことを言うんだって言う人がいるかもしれないんですけど、僕という人間はそういう人間なので。そういう強い気持ちが今日のゴールに乗り移ったんじゃないかなと思う」

 後半16分に途中交代でピッチを離れるときには、3万933人の観客から割れるような拍手が降り注いだ。「イエローカードをもらってしまっていたので仕方ない交代だったのかなと思いますけど、まだまだピッチに立っていたかった。悔しい気持ちが大きくて、“まだまだ自分、見せられるぞ”という感覚もあった。こんなに拍手されながらピッチを去るなんて、(在籍した)12年間で初めてじゃないかなと思いながら去りました」

 そして試合後、真っ赤に染まった埼玉スタジアムの観客席を見渡して、思ったという。

 「改めてピッチに立って良かったなと思った。この人たちと一緒に必ずタイトルを取って最高の形で若い選手にバトンタッチしたいなと思った」

 浦和が前回天皇杯の決勝に進んだのは18年。その仙台戦でスーパーゴールを決めて7度目の優勝に導いたのが、宇賀神だった。「あんなスーパーゴールは一生に一度しかない」と話していたが、3年後の同じ12月、また歴史を刻む一発を決めた。

 「きょうも上手でしたね、相変わらず(笑い)。いいゴールでしたね。決勝でもチャンスがあればとは思っていますけど」
 19日、大分との決勝戦では、浦和の選手として最後のタイトル奪取に挑む。宇賀神は自分の背中を押し続けてくれたサポーターに呼びかけた。

 「今日は最高の雰囲気で勝つことができましたけど、決勝で勝たなければ何も残らないし意味がない。来年アジアで暴れてもらうために、必ず優勝をつかみとりたい。今日も素晴らしいサポートをしていただいたからこその僕のゴールがあった。決勝も最高の雰囲気を作っていただきたい。(賜杯を)一緒に掲げましょう!」
 

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