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香川、初W杯弾!背番「10」の呪縛解いた 冷静先制PK

[ 2018年6月20日 05:30 ]

W杯1次リーグH組   日本2―1コロンビア ( 2018年6月19日    サランスク )

前半、PKを決めガッツポーズの香川(撮影・小海途 良幹)
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 胸のエンブレムを握りしめてピッチに滑り込み、歓喜の咆哮(ほうこう)を上げた。ピッチに響きわたる雄叫びは香川の背負ってきたものの大きさを示していた。「4年に1度。このシチュエーションはどれに例えられるか、試合前から考えていた。ポカール(ドイツ杯)決勝や欧州CLとか…。でもやはり違う雰囲気だった」。前半6分。自身の左足シュートで得たPKを、GKの動きを見極めて決めた。W杯初得点となる先制点。過去のW杯で日本の背番号10が得点を挙げたのは、06年W杯ドイツ大会の中村俊輔(磐田)のみ。ようやく呪縛を解き放った。

 「4年前の初戦は忘れもしない。その経験を生かせたと思う」。ブラジル大会1次リーグのコートジボワール戦。1本のシュートも打てず、後半途中に交代した。チームも逆転負け。背番号10は批判の的になった。その悔しさを糧にし、この4年間はサッカー漬けの日々を送ってきた。

 ドルトムント市内にある自宅には酸素カプセルなどを配備。ベランダには人工芝を張り、簡単なボールを使ったメニューも行えるようにした。徒歩5分圏内には天然芝のグラウンド、ジムもある。クラブの練習以外に連日の自主トレ。昨年2月から専属契約を結ぶ神田泰裕トレーナーは「練習量を落とすように説得することが最初の仕事だった」と振り返る。故障離脱中に個人でハードなリハビリメニューを組み、クラブから厳重注意を受けたこともあったほどだ。

 「PKのキッカーは決まっていなかったけど蹴る気満々でした。(GKの)タイミングをうまく外せた」

 試合開始寸前でコロンビア側がエンドの交代を申し出て揺さぶりにきても、完全アウェーの雰囲気に包まれても、PKを蹴る直前にファルカオがボール位置を指摘して邪魔したことも関係なし。自画自賛の一発は心身ともに強くなった証だ。

 「まだ1勝。次に目を向けたい。気を引き締めたい」

 後半25分に本田と交代する際は少し残念そうな表情。「選手としてはね…」といたずらっぽく笑った姿に充実感がにじみ出る。一時はメンバー入りすら危ぶまれた背番号10の逆襲は、ここからだ。

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2018年6月20日のニュース