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やり方は千差万別 W杯期間中のミーティングは3種類

[ 2014年6月22日 15:45 ]

 W杯期間中のミーティングは3種類ある。自チームについて、相手チームについて、そして試合直前のものだ。

 まず、試合2~3日前に相手について行う。早くやっても忘れるし、直前では詰め込みになる。情報が多すぎても選手が相手のことを意識しすぎて混乱して逆効果、コンパクトにまとめて適切な量を伝えるようにしている。伝える内容は相手のシステムや全体の特徴、どういう狙いで来るか、主力選手の特徴などだ。映像を使うが、長くても30分以内。話し方や声のトーンも意識している。強調したいことは強めに言うだけでなく、映像も大事なところは二度見せたりする。自チームのミーティングは「課題と収穫」がテーマで、試合翌々日にやる。翌日にスタッフで話しあい、こちらも映像を使って「こうするともっとよくなる」「こういうことができていた」と言ったことを選手にフィードバックする。

 試合前のミーティングはたいていホテルで、出発前にやる。時間は10分ぐらいだが、大切な儀式だ。岡田さんは監督、コーチ、選手だけで行い、他のスタッフは入れず、緊張した空間を作った。内容は戦術的な話より「サポーターや家族のことを考えろ。遠くまで来てくれた人に勇気を与えよう」という精神的なことが多かった。岡田さんは人前で話す機会多く、話がうまい。選手の心を掴んでピッチに送り出していた。関塚監督や城福監督も同様にうまい。岡田さんはほかには「攻守の切り替えを早く」「ボールを奪うために守り、ゴールするために攻める」など、チームコンセプトを繰り返していた。ザッケローニ監督も4年間やってきたことをここで強調していると思う。

 ただ、オシムさんは、試合当日はホテルでミーティングを行わず、スタジアムに着いてからロッカーでやった。スタメンが分かるのもその時だから、予想と違って選手に伝え直すこともなく、効率はよい。しかも、時には全員でミーティングをやらずに選手を3~4人ずつポジション別に呼んで、相手に対しての注意などを伝えて終わりということもあった。やり方は千差万別だが、こういうことがうまくできるかどうかで勝敗が変わってくるのだ。(元日本代表コーチ 小倉勉)

 ◆小倉勉(おぐら・つとむ)1966年(昭41)7月18日生まれ、大阪府出身の47歳。天理大卒業後に渡独し、ブレーメンのユースなどを指導。帰国後、92年から市原(現J2千葉)で育成部やトップチームのコーチ、強化スタッフなどを歴任した。06年からイビチャ・オシム監督、08年からは岡田武史監督の下で日本代表コーチを務め、10年W杯南アフリカ大会で16強入り。12年ロンドン五輪では関塚隆監督の下でコーチを務めて4強入りを支えた。五輪後の12年9月からJ1大宮でコーチ、テクニカルダイレクターを務め、13年8月から監督。14年からJ1甲府でヘッドコーチを務めている。

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2014年6月22日のニュース