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大久保「もっとやれた」父の誕生日にチーム最多シュート

[ 2014年6月21日 05:30 ]

<日本・ギリシャ>前半、シュートを放つ大久保

W杯1次リーグC組 日本0―0ギリシャ

(6月19日 ナタル)
 ファーストプレーで勢いに乗った。前半2分、大久保は右サイドでボールを受け、鋭いドリブルでDFを抜き去り絶妙のクロス。山口のシュートは阻まれたが、いきなり好機を演出した。前半33分に長友のクロスを頭で合わせ、後半32分には強烈な右足ミドル。後半23分の右クロスに飛び込んだ決定機は、シュート直前にバウンドが変わり左足で枠を外したが、敵陣深くで何度もファウルを誘うなどキレキレだった。

 試合前日、前々日のゲーム形式では主に1トップでプレー。本職の位置で臨戦態勢を整えていたが、試合前のミーティングで伝えられたポジションは右MFだった。「1トップやと思ってたから“おっ、右か”と。どこでも問題はないけどね。バイタルエリアが空いていたので、もっとボールを出してくれれば、もっとやれた」。チーム最多タイのシュート4本を放つなど孤軍奮闘した。

 試合が行われた日本時間20日は昨年5月12日に他界した父・克博さん(享年61)の誕生日。2年前の還暦祝いに贈った腕時計が形見だ。試合の日はお守りとして生前の父をまねて右手に時計を巻いて会場入り。「特別な日やったから勝ちたかったね」。父の一周忌にW杯メンバーにサプライズ選出された男は、父の誕生日に09年5月31日ベルギー戦以来の国際Aマッチフル出場を果たした。

 弟分として可愛がる香川に代わっての先発。日本がW杯出場を決めた昨年6月4日のオーストラリア戦後に食事をともにし「(代表復帰を)待ってますよ」と言われるなど絆は強い。背番号10の先発落ちに「何も思わない。調子が悪いから外れただけ。そういう世界」と素っ気なかったが、心の中では香川の思いも背負っていた。「まだ終わっていない。もう1試合あるし、また、やってやろうという気持ちの方が強い。次、次」。サプライズ突破を信じて、可能性がある限り諦めない。

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