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日本代表 ギリシャに勝てなかった2つの原因

[ 2014年6月21日 16:34 ]

ギリシャと引き分け、下を向いて引き揚げる本田、岡崎ら(AP)

W杯1次リーグC組 日本0―0ギリシャ

(6月20日)
 日本が勝てなかった原因は2つある。いちばんは日本の時間帯に点が取れなかったことだ。

 前半35分にFWミトログルがケガで交代、38分には主将のMFカツラニスが退場になって10人になるなど、アクシデントがたてつづけに起こってギリシャが浮き足立った。3分後にカラグニスを入れて態勢を立て直しにかかったが、簡単には修正ができない。チームはハーフタイムに細かく指示を受けて修正する。10人になった前半の残り7分間に一気に攻めて点を取りたかった。ここで先制すれば、ギリシャは後半、前にでて攻めなければならなくなる。ボランチの1枚が前に行くなど何かしてもよかった。

 香川が入り、後半25分に香川から内田へパスが通り、クロスを大久保が合わせたが決められなかった。ここから約10分間も日本の攻撃のスイッチが入っていい形ができた。前線で取られたボールにプレッシャーを掛けるとギリシャにミスが続いた。あとひと押しで点が取れたが、ここも決めきれなかった。

 さらに最後5分間ぐらい吉田を上げてパワープレーをしたが、ギリシャは大型の選手が多く、パワープレーの対応は得意とするところ。むしろ足下が得意ではないので、サイドを突破されて低いボールで合わせられたほうが嫌だった。交代のカードが1枚残っていたので、清武か斎藤を入れたり、酒井高を入れて長友をMFに上げたり、大久保をトップに残して低いボールに飛び込ませた方が効果的だったかもしれない。吉田を上げたため。交代させるポジションがなくなった。

 スタメンから遠藤を外したことで、右足でセットプレーを蹴る選手がいなくなったのも響いた。日本のキッカーは通常、右足は遠藤、左足は本田で、香川も右足で蹴る。相手はどっちが蹴るか迷うことで反応が0コンマ何秒か遅れ、それが成否を決める。この試合の前半は遠藤も香川も先発から外れたので本田と長谷部がボールの前に立ったが、相手は「本田が蹴る」と、読み切られていた。

 あとはコロンビアに勝つしかない。今までのサッカーで、点を取られても、取り返すしかない。(元日本代表コーチ 小倉勉)

 ◆小倉勉(おぐら・つとむ)1966年(昭41)7月18日生まれ、大阪府出身の47歳。天理大卒業後に渡独し、ブレーメンのユースなどを指導。帰国後、92年から市原(現J2千葉)で育成部やトップチームのコーチ、強化スタッフなどを歴任した。06年からイビチャ・オシム監督、08年からは岡田武史監督の下で日本代表コーチを務め、10年W杯南アフリカ大会で16強入り。12年ロンドン五輪では関塚隆監督の下でコーチを務めて4強入りを支えた。五輪後の12年9月からJ1大宮でコーチ、テクニカルダイレクターを務め、13年8月から監督。14年からJ1甲府でヘッドコーチを務めている。

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2014年6月21日のニュース