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【オシム分析1】駆け引き巧みなギリシャ まんまと狙いにはまった

[ 2014年6月21日 09:28 ]

<日本・ギリシャ>前半、センタリングを上げる長友

 W杯1次リーグC組のギリシャ戦で、数的優位に立ちながらゴールすら奪えずに終わったザックジャパン。獲得した勝ち点は1にとどまり、決勝トーナメント進出は非常に難しくなった。単調なサイド攻撃、またもや繰り返された慣れないパワープレー。元日本代表監督の「知将」イビチャ・オシム氏(73)がギリシャ戦の戦いぶりを検証した。

 「残念だ」と、このタイミングで言わなければならないのが、とても残念だ。前回私は、ギリシャは「駆け引きが巧みで、0―0でいいのなら、その通りに試合を終わらせることができる」と指摘したが、その通りになってしまった。全体として、日本の良さである、アグレッシブでスピーディーなプレーは少ししか出なかった。

 【ギリシャ戦の問題点】

 一言でいえば、彼らの望むスローペースに引きずり込まれ、結局、その注文通りの試合運びに終始してしまった。向こうも初戦を落としていたので、最初から引き分けを狙っていたわけではないだろうが、退場者が出てからは、ゲームのテンポを落とし、負けないことを狙った。日本はまんまとその狙いにはまってしまった。審判には前半助けられたが、後半は利子付きで返させられたのも不運ではあった。

 ギリシャはほとんど何もできなかった。彼らにできたのは、ファウルや負傷したふりをしてプレーを中断し、試合のテンポを落とすこと。走らないで済むように自陣に引きこもりロングパスで味方の2、3人だけに攻撃を任せること(それも十分に危険ではあったが)。さらに日本選手を挑発すること、審判に文句を言い圧力をかけることなどだけだった。まともなプレーでは、日本にはかなわなかった。それだけに、余計に残念だ。

 のらりくらりとした試合運びに、付き合う必要はなかった。コートジボワール戦よりはコンディションが良くなったようだが、日本も疲れていたのだろうか。せっかくサイドを突破しても、クロス(センタリング)は背の高いギリシャ人の頭を目掛けたハイボールが多かった。それではヘディングで勝てない。

 ぱっとしなかった左サイドに比べて、右サイドの内田は低く速いクロスを何本か供給したが、所属先のシャルケ(独)なら何人もゴール前に飛び込んでくるのに、日本代表ではシュートに結びつかない。これは、日本代表がシャルケではないことを理解していない内田の問題なのだろうか。動いている状態でのボール扱い、日本選手は優れた技術(ボール扱い)を持っているが、この試合では十分に生かされなかった。相手がいるところでの駆け引きなど、試合で使える「本当の技術」を身に付けてほしい。

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