【王将戦】7日開幕 谷川浩司17世名人が展望 藤井の居飛車か 菅井の振り飛車か

[ 2024年1月7日 05:00 ]

前夜祭に集まった人たちを背に、花束を手にする藤井王将(左)と菅井八段(撮影・光山 貴大)
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 栃木県大田原市で7日に開幕する第73期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負を、王将4期の谷川浩司17世名人(61)が展望した。2度目の防衛に挑む藤井聡太と振り飛車党の第一人者・菅井竜也による初の2日制タイトル戦。谷川は、日本将棋連盟が100周年を迎える24年最初の番勝負への期待を語った。

 両者の対戦成績は藤井の9勝4敗、タイトル戦は昨春の叡王戦以来で今年度2度目。その5番勝負は藤井の3勝1敗だったが内容は接戦続きで、最終第4局は2度の千日手の末の決着。計250手指す死闘だった。

 叡王戦は1日制4時間。王将戦で倍増する持ち時間はどう影響するのか。「叡王戦では藤井王将が秒読み、菅井八段は持ち時間を残す場面もあった。王将戦では藤井王将が秒読みになりにくくなるでしょう。2日制対局での勝率も高く、一方、2日制が(18年度王位戦以来)久しぶりの菅井八段は時間の流れを再確認しながらの対局になります」

 初出場の20年度棋聖戦以来19度のタイトル戦で、1日制は27勝8敗で、2日制は40勝8敗。藤井の2日制適性は明らかで、持ち時間が長いほど真価を発揮しそうだ。

 藤井は全8冠独占を果たせるのか。昨年のテーマがこれなら、今年は独占はいつまで続くのか、止めるなら誰か、だろう。

 ただ、これまでの19度で失敗なし、一方的に瀬戸際まで追い込まれたこともなく、5番勝負の2勝2敗、7番勝負の3勝3敗のフルセットですら20年度叡王戦の1度のみ。独占が崩れるとは想像しにくい、との見方が大勢ではないだろうか。

 「藤井王将には勝てない、という空気を生み出してしまった今のトップ棋士、その誰かが打ち破らなければ」

 菅井だけでなく、藤井とタイトルを争う全棋士への叱咤(しった)が重く響く。95年度王将戦で羽生善治九段に最後の1冠を奪われ、当時の全7冠独占を許した谷川は97年度名人戦で奪回し、17世名人の資格を確保した。将棋人気に不可欠な、寄せては返す新旧勢力のせめぎ合いを実現してきた。

 菅井は、順位戦A級10人中、唯一の振り飛車党。30歳の年齢差を超えて研究会を共にした谷川は、菅井の師匠、井上慶太九段が弟弟子という縁もあった。

 「事前研究より実戦で鍛えたねじり合い重視。闘志を前面に出すタイプで、昔の棋士の雰囲気があります」

 対局室では普段と一変し緊迫感を全身にまとう。対局室入りが早いことで知られ、開始30分以上前、記録係が駒を磨く最中に着座したこともあった。勝負所ではほとばしる気合を示すように駒音が高くなる。振るか振らないか。飛車の置き場所だけに止まらない「静と動」のたたずまい。最強の居飛車と最強の振り飛車が再戦する。

 ▽王将戦規定 持ち時間各8時間の2日制。2日間とも午前9時に開始し、第1日は午後6時となった時点で、手番の棋士が封じ手を行って翌日に指し継がれる。鍵となる先手後手は第1局の振り駒で決定し、以降第6局までは先後手を交互に入れ替えて指す。第7局は改めて振り駒を行う。同じ局面が3度出現する千日手となった場合は指し直しとなり、先後手を入れ替えて行われ、こちらが決着局となる。先に4勝した棋士が王将位に就く。

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