菅井八段 最強8冠・藤井王将への挑戦権獲得 振り飛車党の誇りかけ「結果を残したい」

[ 2023年11月23日 05:10 ]

王将の駒を手に記念撮影をする菅井八段(撮影・藤山 由理) 
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 将棋の第73期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグの最終一斉対局は22日、東京都渋谷区の将棋会館で3局を行い、菅井竜也八段(31)が近藤誠也七段(27)を下して藤井聡太王将(21)=8冠=への挑戦を決めた。菅井は王将戦7番勝負初出場となる。

 挑戦決定を受け、言葉に詰まった。近藤に勝利した午後6時28分の22分後、永瀬が投了した。別室へ移って近藤との感想戦の最中だったため、終了後に吉報に接して絶句した。

 「そうなんですね。自分が勝ってプレーオフと思っていました」

 沈黙の後、真情を吐き出した。同じ92年生まれの同学年、永瀬の実力を熟知する。10月、全8冠中最後の1冠だった王座を藤井へ明け渡したとはいえ、全4局は接戦の連続。それだけに自らが勝たない限り、道は開けないとの覚悟だった。

 戦型は得意の三間飛車。しかし穴熊へ組んだ近藤からの王頭への攻め、70手目△2五桂に窮した。「(続く)▲2六馬では負けかなと。(リーグを通じて)中盤、自分らしく辛抱強く戦えたかなと思う」。リーグを総括し、笑顔を見せた。

 名人挑戦権を10人総当たりで争うA級順位戦唯一の振り飛車党。アマチュアには人気の戦法だがプロには不人気で、AI評価値は開戦前でも不利を背負う。だからこそ、存在感を発揮したいとの思いは強い。

 「本当にファンの方も多い。(振り飛車党が)今、苦しいと言われるがその中で結果を残したい」。7番勝負を振り飛車で戦うと宣言した。

 閉塞感から、居飛車を取り入れたことがある。15年ごろからで、師匠の井上慶太九段、久保利明九段の前で言葉にした。「あんたがいうのは100年早い」と井上。振り飛車党の第一人者・久保は「自分の好きなことをやればいいのでは?」と笑顔で応じたという。

 「結果が出ないときは力がないと認めたくない。“振り飛車は~”とか“流行に合わない”とか言いがち。(17~19年度の)B級1組時代に腹をくくりました」

 振り飛車党の看板を背負って臨む7番勝負。藤井との今春の初のタイトル戦、1勝3敗だった叡王戦も接戦続きだった。「第1局までにうまく調整しないと」。対戦成績4勝9敗からの挽回を期し、開幕までの1カ月半を見据えた。(筒崎 嘉一)

 ◇菅井 竜也(すがい・たつや)1992年(平4)4月17日生まれ、岡山市出身の31歳。井上慶太九段門下で04年、6級で奨励会入会。10年、四段昇段。17年、当時の羽生善治王位を4勝1敗で破り、初タイトルを獲得した。趣味は筋トレ。

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