ちばてつや氏 4畳半の下宿で夢見た「座布団ビフテキ」 10代で出会い…盟友・松本零士さん失い沈痛

[ 2023年2月21日 05:29 ]

漫画家・松本零士さん死去 85歳

松本零士さんを巡る漫画家交流図
Photo By スポニチ

 松本零士さんの死に、漫画界から次々と悼む声が上がった。60年来の親交がある「あしたのジョー」のちばてつや氏(84)は、盟友を失った悲嘆に暮れた。

 松本零士さんが高校を卒業して北九州の小倉から上京したばかりのツメエリ姿、当時19歳の彼と出会って60年以上がたちました。
 ワシもデビューした翌年の18歳。

 同じ漫画家の卵、トシが近いせいもあって意気投合、本郷三丁目にあった西日差し込む4畳半の彼の下宿にはよく遊びに行ったものです。

 2人ともまだ稼ぎも少なく満足に食べられなくてね。

 松本さんはよく「座布団のようなビフテキを食べたい!」なんて言いながら漫画を描いていました。

 2人そろって締め切りに追われ、同じ旅館にカンヅメにされて一緒に机を並べて仕事をしたものです。

 当時からワシは遅筆だったので、先に原稿を終わらせた彼に手伝ってもらうこともありました。

 忙しい盛りの40歳の頃に、一緒に世界旅行にも行きました。

 その時に訪れたアマゾン川やマチュピチュの遺跡などは一番の思い出です。

 海外で体調を崩し、なかなか調子が戻らないとは聞いていて、ずっと心配していたのですが、まさか…言葉もありません。

 ここ数年、親しい漫画家仲間が次々と旅立って寂しい思いをしていたのに、君も逝ってしまったのか。

 もう…体中の力が抜けていくよ。 ちばてつや 

 ≪石ノ森さん、手塚さんとも交友≫松本さんは、天才漫画家たちが同居していた伝説のアパート「トキワ荘」のメンバーとも親交があった。石ノ森章太郎さんとは生年月日が同じ。「同じ日に生まれたんだから、一緒に頑張ろう」と手紙をもらうなど、交友があった。また石ノ森さん、手塚治虫さんらと映画撮影の機材をシェアしていた。ともに「本格的なアニメを作りたい」と願う同志でもあった。機材は当時、一般的に流通していなかった。警視庁から闇商売に関わっていると疑われ、3人の自宅に家宅捜索が入ったこともあった。松本さんはそのエピソードを後年、笑って語ることもあった。

続きを表示

2023年2月21日のニュース