松本零士さん 綿密な取材で時代先取り「零士メーター」 ヤマト魂 世界で評価されクール・ジャパンの礎に

[ 2023年2月21日 05:25 ]

漫画家・松本零士さん死去 85歳

2016年12月、仕事場で作品を描く松本零士さん
Photo By 共同

 松本さんの代表作「宇宙戦艦ヤマト」は、漫画ではなくテレビアニメからスタート。74年、制作サイドからメカニックデザイナーとして招へいされ、かねてアニメ作りに興味を持っていた松本さんの思いが合致。既にタイトルも放送開始日も決まっていたが、松本さんはそれまでの企画書にあったキャラクター、メカの設定を一新し、ストーリーも書き上げた。その後、監督の降板もあって演出も手掛けるようになった。

 同作は77年の劇場版が社会現象となり「銀河鉄道999」「1000年女王」、ハーロックが主人公の「わが青春のアルカディア」など80年代にかけて松本アニメブームを巻き起こした。

 洗練されたメカのデザインは後に「機動戦士ガンダム」「超時空要塞マクロス」など継承されSFアニメブームの礎を築いた。「キャプテンハーロック」など多くの作品は海外でも放送され「クール・ジャパン」の先駆者の一人でもあった。

 松本さんの画風は壮大でロマンチシズムにあふれ、ベタといわれる黒地に星をちりばめた宇宙空間の描写には定評があった。特にヤマトのブリッジや999の機関室にある計器類は緻密で、ファンの間では「零士メーター」と呼ばれるほどの完成度。松本さんが全国の航空博物館や資料館などに通い、当時ソ連にあった宇宙関連の研究施設「スターシティ」を訪れるなど、綿密な取材を重ねたたまもの。その頃には一般的ではなかった液晶パネルを描いたこともあり「僕が(時代を)先取りしていたね」と話したこともあった。

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