松本零士さん死去 銀河鉄道999は「青春の物語」…「宇宙旅行がしたい」漫画家として常に夢追いかけ

[ 2023年2月21日 05:30 ]

漫画家・松本零士さん死去 85歳

松本零士さん
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 【悼む】初めて松本さんと会ったのは、2015年夏、本紙の戦後70年企画で漫画家インタビュー連載「あしたのために」の取材だった。

 四国に疎開していた少年時代の戦争体験は生々しく、特に戦闘機の掃射に遭った話が忘れられない。「低空飛行のグラマンが機体を翻して向かってきた。パイロットと目が合ったと思ったらタタタタタ!と撃ってきた。怖かったですね」。壮絶な体験談に驚くとともに、瞬時の出来事に対する観察眼と描写力は「戦場まんがシリーズ」に始まる松本作品に生きている気がした。

 当時77歳。代表作の「銀河鉄道999」について聞くと「まだ続いています」と言い、気力体力ともに充実。「今も柔道の稽古を続けている」と語った。何のためにそこまで頑張るのか聞くと「宇宙飛行がしたいから」と答えた。

 当時、民間人の宇宙飛行が話題になり始めた頃。「普通の人が宇宙に行ける時代がすぐそこに来ている」と楽しそうだった。そして何より漫画家としての思いがあった。「地球を自分の目で見たい。テレビやパソコンなんかで画像を見たことはあるが、やはり自分の目で見たい。そして自分の手で描きたい」と真顔で語った。

 多くの作品の中でもとりわけ大事にしていた「銀河鉄道999」は「1000」になる手前の「青春の物語」とも聞いた。松本さんの上京物語でもあった。未完のまま終わってしまったのは松本さんが青春のまま逝ってしまったからかもしれない。 (文化社会部デスク・岩田 浩史)

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