85歳の現役最高齢タップダンサー中野章三、75周年公演で誓った「100歳までやります」

[ 2022年11月5日 19:30 ]

85歳、円熟のステップで魅了した中野章三
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 日本のタップダンス界をけん引してきた現役最高齢のタップダンサー中野章三(85)が5日、東京・池袋の東京芸術劇場シアターウエストで中野ブラザーズ75周年記念公演を開催し、華麗なステップで魅了した。

 大衆演劇一座の子供として生まれた章三は3歳で初舞台。2歳年上の兄・啓介さんとタップを披露したのは10歳、1947年のことだった。53年から「中野ブラザーズ」を名乗って、江利チエミさんのリサイタルなどに出演し、一躍その名をとどろかせた。59年には日本人初となる1年間の米ラスベガス公演を成功させるなど、国内外で輝かしい実績を残してきた。

 2010年に兄が75歳で亡くなった後も章三が1人でグループ名を死守してきた。そして有観客では70周年のステージ以来5年ぶりとなった公演。「ここ数年、コロナの影響で練習も出来ず、体力が落ちました」と打ち明けながら、少しずつ回復に努めてこの日を迎えた。

 オープニングの「ザ・グレン・ミラーオーケストラ」メドレーから「ステッピン・ハッピー」「シング・シング・シング」など休憩を挟んで約2時間のステージで円熟の妙技を披露した中野は「お客さまの拍手が一番の栄養剤。100歳までやります」と誓いを新たにした。

 公演には50年来の付き合いという弟子の松島トモ子(77)も駆けつけ、「75周年おめでとうございます」と祝福。変形性股関節症で6月に両足を手術したためにタップダンスこそ踊らなかったが、その分、永六輔さん作詞の「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」などを熱唱した。

 「章ちゃんはいつもお兄ちゃん(啓介さん)と踊ってらしたけど、お兄ちゃんは先に逝ってしまった。私も母と2人で芸能界を歩いてきましたが、去年、母が亡くなり、1人になっちゃった。でも、章ちゃんにはタップがあります。タップに恋をして結婚した人。死ぬまで踊ってほしい」

 松島はそう言って師匠にエールを送った。

 俳優の天宮良(60)もゲスト出演した。「35周年のステージを銀座の博品館劇場で見て衝撃を受けました。弟子入りを願うと“あしたから来い”と言われて、そこからのお付き合いです。倉本聰さん脚本のドラマ“昨日、悲別で”デビューしましたが、そのきっかけも作ってくださったし、出会ってなかったら僕は違う道を歩んでいたかもしれない」としみじみ語り、中野ブラザーズ伝授の華麗なステップで75周年に花を添えた。公演は6日も同所で。

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