宮本信子 女優引退頭よぎるも翻意「宮本、もうちょっと頑張ります」/毎日映画コンクール

[ 2022年2月15日 19:13 ]

<第76回毎日映画コンクール表彰式>田中絹代賞を受賞し笑顔を見せる宮本信子(撮影・会津 智海)
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 第76回毎日映画コンクールの表彰式が15日、東京・目黒区のめぐろパーシモンホールで開催され、田中絹代賞を受賞した宮本信子(76)が登壇した。

 山田洋次監督がメガホンをとった「キネマの神様」では、病に倒れギャンブルによる多額の借金が発覚した主人公・ゴウ(沢田研二)の妻・淑子を好演した。当初ゴウ役だった志村けんさんが急逝、コロナによる2度の公開延期と、苦難を乗り越えて公開を迎えた作品だった。

 日本映画界に大きな足跡を残した大女優を冠した名誉ある賞。田中の出身地でもある山口・下関市の前田晋太郎市長から盾を受け取った。

 山田監督作品は50年ぶりの出演。最初のシーンは雪の中だったといい、スタッフが懸命に雪を降らせる姿に「この雪は、においがすると感じました。映画って素晴らしいと思った。そのことに感動したんです」と心打たれたことを明かした。

 文学座の門をたたき、女優人生を始めてもうすぐ60年。スピーチでは驚きの発言も飛び出した。「このところはずいぶんいろんな役もやったし、ちょっといいかしらね?と思うことも、ちょっとですよ?ほんのちょっとあったんです」。女優引退も頭をよぎったというが、今回の受賞で翻意。「この賞をいただいて、田中絹代さんが『あなた、もう少し頑張りなさいよ』とおっしゃって下さったような気がする。ですから、宮本、もうちょっと頑張ります」と宣言した。

 表彰式後、囲み取材で真意を問われると、「やめるつもりはないんですけど、もちろん」と前置き。「これからどんなことができるかしら?どういう仕事があるのかしら?とか、おもしろい仕事にめぐり合うのかとか、いろいろ考えますよね。そういう時にそんなたくさんはあるはずないので、ピッタリするものが1つでもめぐり合ったらいいなと思うんです」と、前向きな言葉で説明した。

 今後も「目標は何もないですね。ああしたい、こうしたいとか、まったくなくなりました」と、まさに泰然自若。送られてくる企画書に目を通すたび、必要とされていることに喜びを感じるといい、「認められていることがどんなに幸せなのかと思います。大切にして一つ一つの仕事を積み重ねていきたい」と語った。

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