倉本聰氏「田中邦衛さんは亡くなっても、五郎さんはまだここにいる」、「北の国から」舞台・富良野に献花台

[ 2021年4月11日 05:30 ]

「五郎の石の家」に設けられた献花台に手を合わせるファン(撮影・石川加奈子)
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 3月24日に老衰のため死去した俳優の田中邦衛さん(享年88)をしのび、北海道富良野市の観光協会などが10日、当たり役の黒板五郎を演じたフジテレビのドラマ「北の国から」の舞台となった市内のロケ施設「五郎の石の家」に献花台と記帳台を設置した。初日は日本全国から約1800人が足を運び、名優をしのんだ。

 富良野の大自然の中でたくましく生きる家族を描いた国民的シリーズで、作中で「石の家」は五郎のついのすみかとなった場所。献花台には「北の国から '98時代」のロケ時に撮影された写真が遺影として飾られ、道内はもちろん、遠くは大分県からファンが集結。オープン前から約80人が行列をつくった。

 脚本を手がけた倉本聰氏(86)も駆けつけ献花。「田中邦衛さんは亡くなったかもしれないけど、黒板五郎はまだここにいる感じ。しばらくすれば、また五郎さんがふらっと現れる気がする」と実感が湧かない様子。「なぜ地上波で再放送しないのか」との声をSNSなどで多く目にするといい「僕としてもやってほしい。こういった声はありがたいと思っている」と功績を称えた。

 撮影期間中は役柄とオフの区別なく、五郎のぼくとつなキャラそのままに街に溶け込んでいた田中さんは地元で愛された。シリーズ開始前年の1980年に開業し、ロケにも使われた飲食店「くまげら」の森本毅店主(78)は「一番田舎っぽい人がいたら間違いなく田中邦衛さん。スーツ姿は見たことがない。富良野の街に同化していた」と述懐。「最初のロケから来店していた。最初はフルネームで呼んでいたが、そのうち“邦さん”、最後には“五郎さん”と呼んでいた」と親しみやすく温かい人柄を振り返った。

 五郎に似た服装で訪れた帯広市の自営業上田茂輝さん(58)は「ドラマは北海道の優しさ、厳しさを教えてくれた。田中さんは人の心を揺さぶる素晴らしい方だった。ありがとう」と話した。

 17日まで。期間中は「石の家」の他、市内の別のロケ施設「麓郷の森」「拾って来た家」を入場無料とする。

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