ドラマ「おもひでぽろぽろ」松坂慶子(上) 「昭和の思い出話を」

[ 2021年1月6日 10:15 ]

NHK・BSプレミアムのスペシャルドラマ「おもひでぽろぽろ」に主演した松坂慶子(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】女優の松坂慶子(68)がNHK・BSプレミアムのスペシャルドラマ「おもひでぽろぽろ」(9日後9・00)に主演した。

 ドラマは1987年に連載された同名漫画が原作。1966年と2020年の東京を舞台に、少女時代のタエ子と64歳になったタエ子(松坂)の暮らしを描く。

 松坂は「タエ子より私の方が少し年上ですけど、同じ昭和を過ごしたので、懐かしかった。ご覧いただくみなさんも、思い出話をしながら楽しんでいただけたら」と話す。

 松坂は中学時代の1967年に「劇団ひまわり」に入団。同年にドラマ「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ」でテレビ初出演し、翌68年には特撮ドラマ「ウルトラセブン」に出演した。今回のドラマではその直前の時代が描かれている。

 「当時は父と母と暮らす家庭が中心でした。おうちでご飯を食べて、おうちから学校へ行って…。家族との関係が当たり前のように濃かった。仕事を始めるようになって、初めてマイクロバスに乗って、房総半島に行ったら、その頃春で、ストックの花や菜の花がきれいで、海がきれいでした。この仕事をしていると、いろんなところでロケをするので、よく、いろんなことにびっくりしてました」と笑う。

 ドラマは2020年のタエ子(松坂)と娘(杏)と孫娘(横溝菜帆)の暮らしが物語の主軸。松坂は子役らと共演する中で、少女の頃の自分と現在の子役たちの大きな違いを感じたという。

 「今の子役の子たちはみんな賢いですよ。お勉強もできるし、お絵かきも上手だし、お手紙をもらうと字も上手。みなさん、本当にしっかりしています。私が子供の頃、友だちにつけられたあだなは、うどの大木。不器用で、のんびりしていて、なかなかスイッチが入らない子供でした。そんな私でも女優になれる時代だったんです。大映や松竹に育ててもらいました。私ができるまでテストをしたし、できるまで本番を撮りました。テストが五十数回、本番が十数回ということもありました。そうやって私は育ちました」

 松坂の成人後の活躍は周知の通りだ。73年にNHK大河ドラマ「国盗り物語」で濃姫を演じて注目され、79年には主演ドラマ「水中花」の主題歌「愛の水中花」を歌って大ヒット。80年代から映画「青春の門」「蒲田行進曲」「死の棘」などで数々の主演女優賞を受賞した。今や遠くなった昭和の時代。松坂自身の思い出の主演作は何か…。

 「『上海バンスキング』が楽しかったです。1930年代の上海を舞台にした、ジャズメンとその妻の物語。上海ロケに行ったりして、あの映画は、女性として、やっていて楽しかった。前半はヘアピースでショートカットにして、後半は自毛でやってました。私は子供の頃、ダンサーになりたかったので、踊るシーンもあって楽しかったんでしょうね。ロマンチックな映画でした」

 意外な選択のような気もしたが、楽しかった作品を選ぶところに、朗らかな松坂らしさがうかがえた。

(つづく)

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

続きを表示

2021年1月6日のニュース