吉沢亮「半沢直樹」SPに重圧も「燃える」19年の漢字は「勝」20年は“つなぐ年”「飽きられたら…」
吉沢亮インタビュー
2019年に大躍進を遂げた俳優の吉沢亮(25)が3日に放送されるTBS新春ドラマ「半沢直樹II エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~」(後11・15~0・45)に主演。“半沢イヤー”の年頭を飾る。「プレッシャーが凄い分、燃える部分はあります。“顔芸”は見てのお楽しみ」。映画「キングダム」やNHK連続テレビ小説「なつぞら」など大作は続いた昨年は「勝負の年」。漢字1文字に「勝」を挙げた。21年には初出演にして初主演を務める大河ドラマ「青天を衝け」が控え、今年を「つなぐ年」と展望した。
俳優の堺雅人(46)が13年7月期に主演した「半沢直樹」。東京中央銀行の銀行員・半沢(堺)が行内の数々の不正を暴く逆転劇を痛快に描き、視聴者をわしづかみいした。最終回の平均視聴率は平成ドラマ1位となる42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークし、社会現象に。決め台詞の「倍返し」は新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた。
今年4月期の日曜劇場(日曜後9・00)枠で7年ぶりに復活。今回は、そのスピンオフとなる。半沢が出向している子会社の証券会社「東京セントラル証券」を舞台にしたオリジナルストーリーで、半沢の赴任後に起きた事件を描く。原作者の池井戸潤氏(56)は企画協力、福澤克雄監督(55)は監修としてスタッフに加わった。
吉沢が演じるのは、新興IT企業「スパイラル」の敏腕プログラマー・高坂圭。ある日、突如発生したシステムダウンのピンチを凄まじいプログラミング能力を発揮して乗り切り、その実力を認めた加納一成専務(井上芳雄)から、あるコンペのプロジェクトリーダーに任命される。そのコンペとは、東京セントラル証券の証券トレーディングシステムの大規模リニューアル。高坂は東京セントラル証券のリニューアル担当者・城崎勝也(緒形直人)や新入社員・浜村瞳(今田美桜)と知り合う。
成功に導けば数億円の売上が見込まれる、スパイラルの社運を賭けた一大プロジェクト。その裏で、人知れず“ある陰謀”が同時にうごめいていたことを、まだ誰一人として知らなかった…。
昨年11月、クランクイン数日後の取材。今作に臨むにあたり、吉沢は「これだけ世間に影響力を与える作品は、なかなかないと思います。『半沢直樹』の世界観を壊さずに、かといって守りに入るんじゃなく、やるべきことを役を通してしっかりやっていきたいと思います」と抱負。敏腕プログラマー役とあり、セリフにはコンピューターの専門用語がズラリと並ぶが「めちゃくちゃ苦労しています。1個1個の単語を自分で調べたりしていますが、単純に言い慣れていない言葉なので、スッと入ってこない。それを結構なテンションで早口でまくし立てたりするので、セリフ覚えが一番難しいです」と苦笑いした。
「半沢直樹」といえば、各キャラクターの顔アップ“顔芸”も特徴。「まだ、そういうシーンはガッツリ撮っていないので、楽しみですね。突き抜けられる役なのかどうかも含め、そこは監督と相談しながら、ガッとやれる部分はやりたいと思っています。見てのお楽しみ」とニヤリ。
また「半沢直樹」をはじめ、日曜劇場の“福澤組”は一連のシーンを繰り返し、異なる角度から何度も通して撮る独特の撮影。ある種、舞台中継のような生の臨場感をカメラに収める。そして、テイクを重ねるうちに芝居が極まる。その撮り方は、今回も松木彩監督に踏襲。吉沢も「今回は台本を頂いてからクランクインまで、あまり時間がなく、固まっていない芝居は頭からケツまで何回も演じているうちに気付く瞬間もあるので、ありがたいですし、新鮮。最初はめちゃくちゃ怒るシーンかと思っていたら、そうでもなかったり。編集がどうなっているのか、楽しみです」と手応えを示した。
“半沢イヤー”の先陣を切るが「もう、プレッシャーは凄いです。ファンの人も相当いらっしゃると思いますし、今回は半沢直樹が主人公じゃないので、ファンの皆さんにめちゃくちゃ怒られるんじゃないかと不安に思っています」と重圧を感じながらも「だから、その分、燃える部分はありますよね。どう見返して、倍返ししていくか。ファンの人に納得していただいて、4月の第2弾にちゃんとつなげたい思いはあります。最後の大逆転劇はバッチリ決めたいですね。そこがしっかり決まらないと『半沢直樹』じゃないので」と力を込めた。4月の連ドラ版出演については「そればかりは分からないのですが(笑)、機会があれば、うれしいと思います」と語った。
19年は「勝負の年」だった。4月公開の大作映画「キングダム」(監督佐藤信介)は2役。4~9月放送のNHK連続テレビ小説「なつぞら」で朝ドラ初出演。ヒロイン・奥原なつ(広瀬すず)が恋心を抱き、絵心を教えられるなど、その人生に多大な影響を与えた画家・山田天陽を好演した。劇中、36歳で夭逝したため、インターネット上には“天陽くんロス”が広がった。10月公開のアニメ映画「空の青さを知る人よ」(監督長井龍雪)の主人公・金室慎之介の声を担当。長編アニメの声優に初挑戦した。
「18年は映画が8本公開されて、ドラマも1クールに2本掛け持ちしたり。体力的にはかなりきつかったですが、それに比べると、19年は体力的には楽だった気がします。ただ『キングダム』も『なつぞら』も1個1個が勝負というか、ちゃんと評価されないといけない作品。今までの経験がしっかり結果として出せるかどうか、自分でも結構ドキドキ、ハラハラな1年だったと思います」
「なつぞら」の位置付けを尋ねると「この作品のおかげで、本当に幅広い方に知っていただけることになりました。今回の『半沢直樹』をはじめ、本当に次のステップにつながるきっかけの作品。『なつぞら』がなかったら、確実に(21年の)大河ドラマはなかったと思います(笑)。1年間、同じ役を、しかも年齢を重ねて成長していく姿を演じる経験は、大河にも確実に生きてくると思います。天陽に関しては、細かい役作りを一切しなかったんです。最初はいろいろことを意識していたんですが、だんだん役がなじんできて、ほぼ素の状態でやっていました。それが成り立っちゃう瞬間もあるんだというのは、1つの学びでした」と“転機”を振り返った。
09年、母親がオーディションに応募して芸能界入り。「小さい頃から憧れの職業もなかったですし、なかったからオーディションを受けたという部分も正直ありますね。今、振り返れば、よかったと思います。この仕事をしていなかったら、たぶん、いまだにプータローだったんじゃないですか。だから、言ってみれば、もし、この仕事を辞めたら、たぶん生きていけないんですよね、僕。世間知らず過ぎて。だからもう、この仕事を一生やるしかないと思います」と役者への思いを明かした。
俳優生活10年をまとめたインタビュー集「Interview」(ワニブックス、昨年6月発売)。「仮面ライダーフォーゼ」(11~12年)の後に仕事に恵まれず、焦りもあったという趣旨の発言をしていたが「その時に比べれば順調ですが、ただ、これがずっと続くとは思っていません。そうなった時、焦ればいいかなという感じです。たぶん、大河が終わった時に一番焦りが生まれてくる気はしています。ただ、今はそういうことについて僕はあまり意識することなく、とにかく全力で取り組まないといけません」と、まずは目の前のことに集中していく。
“19年の漢字”と問うと「カツですね。勝負の勝。勝負の年だったので。19年は何とか(勝負に)勝ったんじゃないかと思います」。20年も「結局は勝負の年になると思いますが、自分としては2020年は“つなぐ年”かなという気がします。2021年に大河ドラマが始まる前に飽きられていたら、仕方がないので」。“国宝級イケメン”から“国民的俳優”へ。吉沢の“勝負”は続く。
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